山岳遭難救助ヘリコプターは無料なの…?

「ロロロロロロロロ・・・・・・・」
仕事場で原稿を書いていたら、上空にエンジン音。
あれは、たしかにヘリコプターの音だ。
しかも、あの小さなエンジン音は長野県警の「やまびこ」号にちがいない。
また、中央アルプスで遭難者が出たのだろう。
仕事場から直線で400mほどのグラウンドに、ヘリコプターは降りる。
そこには、すでにパトカーと救急車が待機している。
そのヘリコプターの着陸を誘導するのは、オイラの友達。
県警のヘリコプターが出動するたびに、彼は呼び出されてグランドにかけつける。
そして、吹流しを立て、オレンジ色のベストを着て、ヘリコプターを誘導する。
そんなことを知っているから、彼の仕事中の写真がないといっているので撮影に出かけた。
オイラも仕事中だというのに、ちょうどいい気晴らしになるから、ヘリコプター見物なのさ。
まあ、彼の邪魔をしないように、グラウンドの片隅で着陸して遭難者を下ろして帰るヘリコプターを見守った。
その手際のよさは、10分ほどで終了して、ヘリコもパトカーも救急車もクランドを去る。
そのあとに、友人はひとり黙々と吹流しなどの後片付けをして、彼も帰る。
そんな彼とハナシをすれば、中央アルプスを指差して、
「あの前岳の下に3本の沢があるけれど、あの真ん中を沢登りしていて、転落したらしい。
頭は血だらけだけど、生命はあるようだ。
それにしても、中高年の沢登りがブームらしいけれど、埼玉県の防災ヘリコ墜落事故もあるから、まさに危険な救助作業には変わりない…、よ。」
で、この費用はどうするんだろうね、と訪ねたら、
「長野県警察のやっていることだから、たぶん無料なんじゃあないのか、な?」
こうして、遊びのスポーツ事故に税金を使わなければならないのかと思うと、オイラには割り切れない思いがした。
そして、もし、救助に失敗してヘリコでも墜落すれば、機材費だって長野県民の税金で再購入ということになるのだろう…?
なんだか、現代人は生きていることも他人まかせのような気がしてならない。
個人の自己責任というものは、とっくの昔に忘れ物をしてしまったのだろうか?
写真:
1)吹流し(緑矢印)を立て、彼はグランドでヘリコを誘導する(赤矢印)。
2)矢印の沢で、遭難発生。
ツキノワグマの個体数把握はかぎりなく可能に近づく
この30年間で、「ツキノワグマは確実に増えている」、とオイラは一貫して言ってきた。
それなりの根拠があるから、自信をもって言いつづけてきたのであるが、それを認める人はほとんどいない。
一笑にふされることも、ある。
どうやら、ツキノワグマはいまの日本では増えてはいけない動物、なのだ。
滅びに向かって減少していく動物でなければいけない、のである。
まあ、それもよかろう。
そのような考えの人は、現在目の前にある日本の自然環境を的確に見れない技術しかもちあわせていないのだとオイラは見ている。
野生動物の生息数を割り出すことは、たしかに常識的なセオリーしか持ち合わせてない人にはのっけから諦めの境地であろう。
だから、希少種で減少しているから観察できないのだと、技術のないところをクマの数の少なさに転化させているような気がする。
だが、オイラは違う。
写真家として、自分のカメラ技術がどこまで通用するのかをいつも考えているから、誰も考えないような発想力で「発明」をしたまでだ。
それが、「クマクール」と「マタミール」。
熊がほんとうに来るから、「クマクール」。
そして、雌雄の区別をするべく股間を見るから「マタミール」、なのである。
これを無人撮影で同時にやってしまうのが、オイラの天才的な発明である。
撮影だけではない、ツキノワグマが確実にやってくるようにするには秘伝の「媚薬」がいる。
この媚薬だって、ツキノワグマをしっかり観察していて自分で考えついた。
だから、この装置はオイラにしか使えないのである。
今年も、本州ではいろんなところにツキノワグマが出没して話題になっている。
なのに、異常気象だとか、奥山が荒廃しているからだとか、ドングリが少ないからだとか、相変わらずのコメントしか聞こえてこない。
ツキノワグマの個体数が多ければ、それだけ目撃数も増えるのではないのだろうか?
一体全体この日本の国土にどのくらいのツキノワグマが生息しているのか、それを割り出すのがいま優先順位としてはいちばん大切なことだと思う。
それなのに、大金を投入したGPSだけが確かな研究だと思い込まれているところがあるし、ヘアートラップによるDNA調査だとか、歯を抜いて年齢査定や頭蓋骨測定をしたり、ワンパターンな学習放獣を繰り返していても、いま現在大量に生息するツキノワグマの全体動向には何の役にもたってないとオイラは考える。
このため、ツキノワグマがどのくらい生息しているのかということはオイラにとっても緊急課題だった。
そこで昨年からクマクールの実験をやっていたが、今年でそのメドがついた。
とにかく、最近の収穫では一夜に5頭ものツキノワグマがクマクールにやってきたし、417枚もの撮影が一夜にできてしまったからだ。
これらの稼動は今現在でも進行中で、あとは2kmメッシュでクマクールの展開をはかればかなりの実態が分かってくると信じている。
これには、どこからも補助金など貰ってないし、すべてが自前なのでどこに気兼ねすることもなく気楽にたのしめるというのもいいことである。
写真上から:
1)耳ピアスの番号まで読めるから、放獣個体の追跡も可能だ。
2)こんな写真が連日連夜撮影されるから、新顔個体の発見には胸躍るものがある。
3)マーキングをしたり、取っ組み合いのけんかをしたり、複数個体間の親密度関係までもがよくわかる。
4)股間や腹部は、外側からでは分からない特徴もあってかなり複雑で面白い。
まちがいだらけの自然保護
(photo:ハッチョウトンボのオスは、とても美しい赤色をしています)
ハッチョウトンボって、知ってますか?
小さな、ちいさなトンボです。
体長は、28ミリくらい。細くて小さいので爪楊枝を半分にして羽をつけたみたいです。
オスは、全身が真っ赤となり、メスは黄褐色です。
とにかく、小さくて可愛らしいトンボですから、ハッチョウトンボのファンは多いものです。
そのハッチョウトンボが、中央アルプス山麓のある湿地帯に棲んでいました。
そして、このトンボを守ろうと保護会もできていました。
そのハッチョウトンボの棲む湿地へ行って驚きました。
春の産卵期を迎えたヤマアカガエルが、湿地の水溜りに卵を産んであったのですが、そのカエルの卵塊が、土手の上に捨てられていたからです。
カエルの卵ですから、水分を含んだゼラチン質に包まれていますからそんなにすぐ死ぬことはありません。
なので、ボクは卵塊を拾ってもとの水溜りに戻してあげました。
そのあと、2日ほどしてハッチョウトンボの湿地へでかけてみると、カエルの卵はまた陸に捨てられていました。
なので、また、水に戻してきました。
そんな繰りかえしが5回ほどつづきました。
これは、あきらかにヤマアカガエルの卵塊に悪意をもった人間がやっていることとしか思えませんでした。
(photo:小さいので見つけるのが難しいです)
(photo:ヤマアカガエルは山林に普通に見られるカエル)
そんなことがあったので、次には少し時間をずらして早めに出かけてみました。
すると、年配のおじさんがカエルの卵塊を水からすくって捨てているところにちょうど出会いました。
「おじさん、その卵はヤマアカガエルという林や森に棲むカエルの卵塊ですが、どうして捨てるのですか?」
「オレは、ハッチョウトンボを守っとるのだで、カエルのおたまじゃくしがトンボのヤゴを食べちゃうから、邪魔せんようにこうして退治しているんだが…
学校の先生も、そうするように言うとるし…」
「それって、まずいんじゃあないですか?ウシガエルのような外来生物の卵を駆除するのなら意味も分かりますが、ヤマアカガエルは日本を代表する水辺環境の生きものですが…」
おじさんは困ったように抵抗します。
「そうはいっても、あの小さなハッチョウトンボを守らなければならないから、なぁー
この水辺にはシオカラトンボもギンヤンマやオニヤンマもいて、みんなハッチョウトンボをねらっておる…で」
「いや、自然界ではみんなが食いくわれる関係にあるので、小さくて可愛いからといってハッチョウトンボだけを守るのはよくないと思います。
ハッチョウトンボだって、いろんな生物に狙われながら生きのびてはじめて、生態系の一員になっているのですから、やっぱりヤマアカガエルの卵を駆除するのはマズイことです。
野鳥のメジロだって、小さくて可愛らしい野鳥ですが、そのメジロをタカたちが狙って殺して食べてしまいます。そのタカをメジロのために殺すようなものですから、それはやっぱりマズイでしょう?」
「そこまで言われてしまえば、そうだなぁー」
おじさんは解ってくれたようで、ヤマアカガエルの卵塊を水に戻していました。
(photo:ハッチョウトンボはこのような湿原に棲んでいます)
そういえば、この水辺では、背が高くなる植物のショウブの芽も積極的に潰して、オニヤンマなど大型のトンボの羽化を妨害していました。
自然界には、いろんな生きものがいて、それぞれに関係しあって生きているのが生物多様性です。
それなのに、小さくて可愛いからといって、ハッチョウトンボだけを守ろうとすることは生物のバランスをくずしていくことになりますから、それは「まちがい」だと思います。
あらゆる生物には、この地球上に生きる意味をもっているので、その生活現場を理解してから見届けていくことが保護なのではないかと思います。
(photo:ウシガエルは食用に輸入されましたが、日本各地で生態系に問題を起こしています)
(photo:こんなきれいなオオシオカラトンボだって、天敵のクモにはかないません)
(photo:小鳥を襲うタカの一種であるツミ)
(photo:ジムグリは、こんなに優しい顔をしていますがネズミには天敵です)
森のライブカメラ で、ムササビの赤ちゃんが誕生しました。(3/23日)むささび荘にしかけた巣箱の中で、ムササビ母さんが出産したようです。これからが楽しみですね。
森のライブカメラザ・ベストも更新されています。
森のライブカメラ から作成した動画をYoutubeにて公開中です!コメントもお待ちしてます。
スズメバチがムササビの巣箱に僅か一日で巣を作ってしまうことが、記録されています。この画像は、静止画としてキャッチされたものをつないで、動画にしたものです。(作成/ILLOMENさん)
>>ライブカメラベスト集 2007年8-9月 むささびホテル : ムササビ赤ん坊 蜂の巣事件 はこちらです
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