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2008-12-16 Tue [ 旅・取材・人 ]
ニホンジカの「おかま」ちゃん
by gaku

泥なめ場に無人撮影カメラを設置していたら、ヤギほどしかない角のシカがいることに気づいた。
ニホンジカのオスの角は2-3段に枝分かれしている立派なものであるが、このように貧弱な1本角のシカをソロッポと伊那谷では呼んでいる。
ソロッポは雄ジカだけど、睾丸がないとも言われている。
その事実をまだボクは確認してないが、たぶん睾丸はあると思う。あっても、意外に小さなものなのかもしれない。
このような1本角には、理由があるようだ。
それは、俗にいう「おかま」ではないかと思われる。
交尾期に、メスのふりをしてハーレムに紛れ込み、立派な角をもった雄が交尾に忙しくしているときに、別のメスにちゃっかり交尾をしてしまうスニーキングではないか。
ニホンジカは、大きな角をシンポルとしてたくさんのメスを獲得するが、ハーレムでは中途半端に大きな角をした雄は高順位の雄に見つかって猛烈に排除されるはずだ。
しかし、この写真のような貧弱な1本角だと、立派な角にしか反応しない高順位の雄は、ソロッポを「雄」と見破れないのだろう。だから、このソロッポ雄もとぼけて雌のなかにまぎれこんで、ちゃっかり交尾をしてしまうのである。

このような現場をボクはまだ目撃していないが、おそらくまちがいないだろう。
でなければ、このような雄は絶対に生まれてこないハズだ。
南アルプスには、このようなソロッポ鹿がかなり生息しているから、やっぱりスニーカーだと思う。
写真上:ソロッポ鹿。
写真下:若い雄はこの時期(11月)でもまだ袋角だが、ソロッポの角は剝けている。
2008-12-10 Wed [ 哺乳類・野生動物 ]
南アルプスの泥なめ場
by gaku

南アルプスには、野生動物たちが集まってくる「泥なめ場」があるといわれている。
その泥には、ミネラル分が豊富に含まれているために、多くの野生動物たちがやってくるのである。
そのような泥なめ場は、たしかに存在する。
これまでにも、何カ所かを教えてもらい観察してきたが、数年のうちに動物たちがなめ尽くして消滅してしまうことが多かった。
そこで、いつか自分の力だけでそのような「泥なめ場」を発見したいと思っていた。
ボクは、これまでにもそうであるが、一から石段を積み上げていくようなことが好きだからである。
そして、目的に向かって完成させていくという、そのプロセス体感がたまらなく楽しいからである。
だから、泥なめ場も人に教わるのではなくて、まったく未知なところから発見したかった。
その「泥なめ場」が、2つ見つかった。
大規模な「泥なめ場」だった。
さっそく無人撮影ロボットカメラを設置した。
これがまた、実におもしろいのである。
まさに、行列のできる「泥なめ場」だったからである。


泥に含まれるミネラル分は、太古の昔に生きた動物たちの死体などがたくさん詰まった場所と考えられる。
南アルプスは2億年前からの造山運動によってできてきた山脈だから、2億年分の生物の「滓」が詰まっているのだ。その滓を現世の動物たちが生きるために必要としているところが神秘的でおもしろい。
しかも現在もなお続いている造山運動によって大地が崩壊し、崩壊することによって「泥なめ場」が出現してくる。
そして、そこにこぞって近隣の野生動物たちが集結してくる神秘さ。
こういうおもしろさに、ボクはものすごく惹かれてしまう。
生命の不思議さをまさに体感できる自分がそこにあるからだ。
だからボクには、自然を賛美するだけの花鳥風月な写真は撮れない。
自分も含めた生命が生きる時間を撮りたいのである。
無人撮影ロボットカメラも、この先あと何年間も設置しつづけて、黙して語らない自然界の妙を記録していくことだろう。
そんなにもして撮影する理由は、自然界の深部までを知ってみたいという好奇心からだけである。
面白いものは、文句なくおもしろいからである。

写真上:南アルプス。
写真中:行列のできる泥なめ場とシカたち。
写真下:なめられた泥の一部。
2008-12-09 Tue [ 旅・取材・人 ]
ヌード劇場で写真を勉強する
by gaku

現在発売されている「アサヒカメラ」12月号で、「写真の現場」のゲストとしてボクが紹介されている。
11月号でも、別の記事を書いたから、この雑誌には2号連続の登場である。
12月号では、写真家のホンマタカシさんがボクの撮影現場に訪ねてこられてインタビューをとっていったのだった。
その記事の内容には、ヌード劇場でボクが写真の勉強をしたことが載っている。
写真は、「光と影」を読む芸術である。
だから、光はとても大切なのである。
ボクは、写真学校にも行かなかったし、写真のすべては独学である。
このため、転んでもタダで起きるようなことはしない。何でも、学習をしてしまうからだ。
そこに、ヌード劇場も勉強の場として含まれていたからである。
ヌード劇場というと、眉をしかめる仲間もいる。
そんなことは百も承知で話しを振るのであるが、その反応で相手の写真に対する技術力をボクはヨミ抜いてしまう。
何故ヌード劇場なのかを読めないようでは、ボクの写真も読めないからだ。
それほどボクの写真はオリジナリティーにあふれている、からである。
さすが、ホンマタカシさん。
そこは、ちゃんと読みぬいたから一流だ。
内容をもっと知りたいかたは、アサヒカメラ12月号を買うといい。
立ち読みというセコイ考え方は、タメにならないよ。
2008-12-07 Sun [ 風景 ]
冬支度の伊那谷
by gaku

日本アルプスにも、本格的な雪の季節がやってきた。
里から見る中央アルプスにも、来年の夏まで溶けることのない根雪がすでにやってきた。そんな雪景色をのんびり眺めている場合でないので、高所に設置してあるカメラの引き上げをはじめている。
昨年は、たかをくくって一年中置いてきたら、とんでもないことになっていた。
静かに雪が降ってくれても、樹上に積もり、あるときにそれがひとかたまりとなって落下してくるからである。
その重さは10kg以上のことも少なくない。
そんな雪塊が地上のカメラを直撃するとどうなるか…
このような直接の被害に加えて、春になって天候が落ち着いても林道が残雪に埋もれていてカメラのメンテナンスにも出かけられないありさま。
なので、ここ数日の間に危険な場所のカメラはすべて回収してきた。
そのカメラの一台には、ヤマドリの神秘的な姿が写っていた。
標高1600mの痩せ尾根に設置してあったカメラである。
このカットで今年最後の撮影となったが、まだまだ無人カメラとして設置しつづければいろんなドラマも撮影されるであろう。
しかし、いきなり大雪がくるので、そのときにはカメラシステムのすべてがお終いになる。
残念だけれど、今年はこれで諦めだ。


写真上:中央アルプスと伊那谷。
写真下:ハクビシンとヤマドリ。同じ場所とは思えないほどに景色が一変している。








