2007-12-31 Mon  [ 哺乳類・野生動物 ]

自動撮影カメラの発見

by gaku


今年も終わりなので、自動撮影カメラのメディア回収にいってきた。
撮影は順調に進んでいたことはわかっていたが、ここ1ヶ月ばかりのデータ回収をしていなかったからだ。

自動撮影なので記録はすべてRAWで行っているが、現像していくほどにたくさんの発見がみえてきた。
ツキノワグマが秋までは頻繁に出現していたが、11月以降からはイノシシやタヌキ、テンなどの動きにとって変わられていた。
なかでも、イノシシはほんとうに多く出現してきていた。

12月25日の深夜には、生後1年ほどの3頭のイノシシ兄弟がカメラの前を通過していった。
その3頭をよくみれば、みんな毛が抜けていた。
あきらかに、疥癬ダニにやられていたからだ。
こういうイノシシは、この冬の寒さにどう対応していくのだろうかと興味がある。
たぶん、どこかで寒さに耐え切れずに死んでいくのだろうが、そうした死体を見つけることもない。

そういえば、疥癬ダニにやられたキツネも同じ場所で写されていた。
このキツネは12月7日だから、イノシシと同じエリア内で罹患したのだろう。
どちらが先に疥癬ダニを背負ったのかは知らないが、キツネは尻から尾にかけて毛がかなり抜けている。
右足の裏腿部などは、掻きすぎて血がにじんでもいる。



イノシシやキツネのこのような動きは、直接観察はなかなかできないことだ。
しかし、こうして自動撮影カメラを長期間設置しつづけると、見えてないものがみえてくるから効果的である。
ボクはもうかれこれ30年以上も前からこうした自動撮影カメラ設置を繰り返しているが、このように疥癬ダニにダメージを受けている野生動物もずっとみてきている。
そして、こういう現象が繰り返し起こりながら、ずっと推移してきていることもわかっている。
だからといって、周辺に疥癬ダニが流行ったとしても、野生動物がいなくなるわけでもないから自然界の治癒力にはすごいものがあると思っている。

疥癬ダニが生物を絶滅させることはないだろうと思うが、この自動撮影カメラに写される動物たちにもまったく疥癬を患っていないものもいるのが不思議でならない。
ツキノワグマ、テン、カモシカ、リス、…は、いまのところ、疥癬になっているものを見たことがないからだ。
まあ、こうして自動撮影カメラを長期間にわたって張りつづけることも、黙して語らない自然界を観察していくひとつの方法だと思っている。
だから、これだけは根気強くつづけていくつもりだ。

写真上:イノシシはほぼ全身の毛がない。
写真下:このキツネはお尻がそうとうに痒そうだ。

2007-12-28 Fri  [ 哺乳類・野生動物 ]

新宿にアライグマ

by gaku


2007年12月20日午前3時52分。
ボクは新宿三丁目を歩いていた。
ドブネズミの撮影を終えて、歌舞伎町を背にしながら新宿駅東口方面に向かっていたのだった。
3時52分といえども、眠らない都市東京の新宿の繁華街だから、人通りもまだまだあった。
そんな人たちに混じって歩くボクの視線のなかに得たいの知れない動物が、とびこんできた。
その動物は、飲食店から出されたゴミ袋の山に興味ありげに、ビルとビルのわずかな隙間から顔をだしていたのだった。
そしてボクと、目と眼が合った瞬間に後ずさりして、ビルの隙間に消えてしまった。

っん!?
いまのは、アライグマではないか。
体形は大きめのネコくらいだったし、眼の周りにパンダのような黒い隈取があったから、まちがいなくアライグマだ。

そう思った瞬間ボクは、ゴミ袋の山から5mくらい離れた道路対岸まで行って、待ってみることにした。
アライグマの後ずさりの動き方からして、びっくりして逃げたのではなく、ここは人をやりすごそうといった動作がみてとれたからだ。

5分ほど経っただろうか。
件の動物は、ビルとビルの暗い隙間からそっと顔を出してきた。
こんどは落ち着いて確認すると、それはまちがいなくアライグマだった。
アライグマはそっとゴミ袋に近づき、ビニール袋を口で破って、中の残飯をくわえて後ずさりして再び隙間に消えていった。

こんな繁華街にアライグマがいること事態が不思議だったし、これはぜひ撮影しなければならないと思った。
ちょうど高感度撮影のできるニコンD3を持っていたので、これは繁華街の明かりだけで撮影ができるのではないかと考えた。さっそくISO感度を3200にして、絞りは開け気味のf5,6。シャッタースピードは20分の1秒が切れた。もちろん、手持ち撮影である。
そう思ってカメラの準備をしていると、アライグマは再び現れた。

ゴミ袋を物色していたので、一歩、また一歩とカメラを構えたまま接近した。
最終的には、2mのところまで近づくことができた。
アライグマの動きを見ながら、ボクはD3のシャッターを次々に切った。
シャッター音は渋かったので、アライグマはまったく驚くようすもない。
30枚くらいのシャッターを切ったところで、アライグマは再びビルとビルの暗い隙間に入り込んでいった。
そのご20分くらい待ってみたが、とうとう出てこなかった。

それにしても、新宿の繁華街にアライグマを発見してしまったことは朗報だった。こんな繁華街にも出現しているということは、アライグマは驚くほどの柔軟性をもって日本の自然界に潜伏していることを知った。

アライグマは、北アメリカ原産の動物。
「アライグマのラスカル」というテレビ番組のアニメが流行したことから、日本には愛玩用として大量に輸入された。
その結果、無責任な飼い主がいて、あちらこちらに放してしまったのだ。
それが、野生化して、農業被害や日本の野生動物への生態的弊害も起きてしまっている。
北海道から九州まで、アライグマはほぼ全国的に野生化してしまった。このことは大問題だと思っていたが、そのアライグマが東京都内の繁華街にも悠然と出現してきていたのには二度びっくりだった。
こんな動物だから、もう日本から排除することは不可能であろう。

写真:新宿三丁目で出会ったアライグマ。 


2007-12-19 Wed  [ 環境・ゴミ・現代社会 ]

灯油泥棒をセンサーで撃退

by gaku


知り合いのトミさんから、相談を受けた。
何だろうと聞いてみれば、灯油泥棒が出てきているからセンサーを取り付けて欲しい、ということだった。
トミさんからは野菜などをよく貰うので、一応は相談にのってあげた。

そういえば、最近の燃料高騰で全国的に石油類の盗難ニュースが増えてきている。
海辺では、船外機のガソリンタンクごと盗難にあったとか。
駐車中の車の給油口をこじあけて、燃料を抜き取られたとか。
ある宿泊施設の灯油タンクから、4000リットルも盗まれた、というようなニュースがあるからだ。

ここ、長野県は冬期間の暖房には灯油が欠かせないから、各家庭でも屋外に灯油タンクを設置してあるところが多い。
そのタンクは200-400リットルが一般家庭の標準なので、タンクにそっと忍び寄って手提げポリタンクに抜き取っていく泥棒がでてきているのだ。
屋外タンクは自宅裏にあることが多いので、まさに盲点ともいえるし、無防備なかたちでの設置が目立つ。
だから、トミさんも自衛手段としてセンサーを取り付けたい、ということだったのである。

このため、防犯装置をつくるにあたっていくつかの質問をしてみた。

1)屋外タンクに人が接近すれば、センサーライトが点灯するだけでいいのか。

2)屋外タンクに人が接近したことをセンサーが感知して、そのことを相手に知られることなく、自室内にブザーが鳴って教えてくれる。

3)屋外タンクに人が接近すれば、自宅室内にブザーが鳴ると同時に赤外線カメラで屋外の映像をとらえ、室内のモニターテレビに映し出すようにするのか。

4)灯油泥棒をしている瞬間をすべて赤外線カメラがとらえて、その映像を動かぬ証拠として記録までするのか。

5)屋外タンクに人が近づいただけで、タンク周辺に大音響のブザーが鳴って、照明をつけて驚かすだけでいいのか。


とまあ、いくつかの防犯チョイスがあるが、目的別で費用も違ってくるからである。

結果は、5)でよいということだったので、作業は簡単だった。
屋外タンクのある現場は隣家とブロック塀でさえぎられているし、タンクに近づくには木戸を開けなければならない構造になっていた。
このため、木戸に少し細工をしてから、赤外線センサーを周囲に張り巡らせることにした。

このような防犯装置は、ボクにとってある意味では野生動物たちを相手にするよりも楽である。
人間のほうが行動パターンが限定されているので、行動の読みは野生動物よりできるし、隙も多いからである。
その昔ボクは、小鳥の巣箱のなかに監視カメラを仕込んで、「松茸どろぼう」をばっちり撮影してしまったことがある。
これ以外にも、公言できないような泥棒事件を何件か解決したこともあった。
だから、ボクにとってこのような相談は朝飯前の技でできてしまうのだ。

今回は、犯人逮捕ではなく、あくまでも灯油タンクに人が近づけば「警戒していますよ」ということを相手に知らせるのが目的だ。
これだけでも、犯罪の抑止効果はあるのだから、ボクの技術をトミさんに提供したまでだ。
寒さが本格化してきたから、灯油泥棒がこれ以上増えないことを祈るのみである。

写真:ここの灯油タンクは400リットル。今冬は1リットル100円にもなっているから、さもしい人がでてこないともかぎらない。


2007-12-14 Fri  [ 旅・取材・人 ]

エコプロダクツ2007

by gaku


東京ビックサイトで、「エコプロダクツ2007」というイベントが開催されている。
12月13-15日までの3日間の短い期間だが、環境をテーマにたくさんの企業が参加していた。
カメラメーカーのNikonブースで、ボクの「アニマル黙示録」が少し展示されているので、見学がてら出かけてきた。

アニマル黙示録は、もう12年も前に雑誌フライデーで連載した企画だが、ボクの中では現在も「進行形」のテーマである。
このため、環境をテーマにした大きなイベントなので、今回はイベント全体を見ておく必要があると思った。
まあ、日本の名だたる企業から地方のちょっとした農産物まで一緒になって、「環境」をひっくるめていて、それはそれで面白かった。
そんなイベントなのでこれだけ集まると、強引に環境とひっかけてしまっているようなところもあったり、環境というブームに乗っているだけで、実際のところどれだけ「環境」のことを分かっているのだろうかと疑問に思えるようなブースもあった。

このような時代だから、ボクは社会全体の流れも参考にしておかなければならないのだが、「アニマル黙示録」を認知されるにはまだまだ時間がかかるのではないかと思った。
が、しかし、あと少しであろうという手ごたえもあった。
『生きものたちからの視線で現代人間社会を語る…』
これは近い将来わたしたちが必ず通らなければならないテーマだからである。
そして、そんな大展覧会をビックサイトでやれる日も遠くないと感じた。

だから、こういうイベント見学もリサーチの意味でボクには必要なことだったのである。



写真上:ビックサイト
写真中:Nikonブース


2007-12-11 Tue  [ 料理・食 ]

自然を食べるよろこび

by gaku


中央アルプス山麓の駒ヶ根高原には、「山の店」という珍しいものを食べさせてくれる店がある。
ここの主であるスウさんとは、もう30年以上の付き合いだ。
主の前職は、散髪屋さん。
なので、ボクの頭はずっと彼に整えてもらっている。
だから、散髪のことを「伐採」といえば、阿吽の呼吸で通じるのだ。

そこで、昨日電話をかけておいた。
gaku 『おーい スウさん、伐採たのむ』
スウさん 『おおー わかった、今夜だな』

そういうことなので、ボクは仕事をすませて夕方でかけていった。
彼は早めに仕事を終えて、もう独りで飲んでいた。
酔っ払いの散髪も心配だったが、そこも阿吽の呼吸。
散髪なんてうわのそらで、ボクと一杯やるためにずいぶんと肴を用意してくれていたのだった。

スウさん 『おいgakuさあ、カジカ捕っておいたで、な
       それに、ズケ丼食えやぁー gakuさのために俺つくっておいたで、
       ザザムシもあるぞ…。』
gaku  『やいやい 悪いなぁー』

そういうことで、伐採もそこそこに、二人で囲炉裏を囲んで一杯となってしまった。

スウさんは、山登りではちょっとした有名人だし、自然のことならほんとうによく知っていて体験も豊富。
だから、これもボクとは阿吽の呼吸。



天然のカジカなんて、いまどき捕れる川なんてないくらいに貴重品だ。
それなのに、その川を誰にも教えず、そっと見守ってもいる。
だから、乱獲されないから、大きなカジカを彼はたくさん捕れるのだ。
また、昔にボクが教えたイワタケの場所をもう30年もかけて見守っては、必要な分だけを採ってきてご馳走にしてくれる。
なんたって岩登りの技術は天下一品なので、イワタケなんて彼の手にかかればちょちょいのちょい、なのである。
そして、いまの季節の山ワサビもほんとうに美味しいから、それをちゃんと瓶詰めにしてくれてもあった。
ザザムシも、『ヘビトンボの幼虫が美味いんだよなぁー』といいながら、佃煮もできあがっていた。



カジカの骨酒でしっかり酩酊してしまった二人だが、ボクは伐採代も酒代も払わずに帰ってきた。
これも阿吽の呼吸で、二人には銭が必要ないこともあるからだ。
こうして、地元の山野にある食材で、ほんとうに美味しい時期に食べるよろこびはひとしおである。
田舎暮らしの究極のよろこび、でもある。



写真上:スウさん写真撮るぞとカメラを向けたら、「待てよ」といって帽子をとった顔がこれまたいいのだ。
写真中:カジカの炭火焼き、この骨酒が美味い。
写真下:珍味ザザムシはゲテモノの王者。
写真下の下:囲炉裏での昔ながらの燗つけ器。

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