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2006-07-29 Sat [ 哺乳類・野生動物 ]
人間社会のふところで育つ野性…
by gaku

『おーい gakuさぁー
俺にはどうしてもわからんことがあるで、ちょっと見てくれやー 』
隣町に住む鉄砲撃ちのタダさぁーから、電話があった。
タダさぁーは、農業を手広くやりながら、馬を5頭も道楽で飼育しているし、伝書バトも200羽ほど飼っている。
庭には日本犬が4頭ばかりいつも放し飼いになっているし、チャボからシャモ、ニワトリも100羽以上が遊んでいる。
根っからの動物好きだが、イノシシやツキノワグマも猟期になればちゃんと仕留めてもいる。
そんなタダさぁーにも、分からないことがあるみたいだった。
タダさぁーの自宅近くのその場所へ案内されてみれば、イノシシの巣のようでもあるがキツネの巣でもあるようだ。
とにかく、ススキの原にトンネルができていて、子供が遊んだような広場もあった。
トンネルはイノシシが通るのにいいほどに背が高いから、結論はどうやらイノシシが子育てをしていた場所ということになった。
しかし、ボクは、キツネが子育てをしていたと思ったが、タダさぁーは「イノシシ」だと言い張る。
馬に与えるための草を刈っていて気づいたらしいが、途中で草刈りをやめてボクのところへ電話をかけてきたのだった。
子供たちが遊ぶ広場からは、200mほど離れたところに養魚場の管理人が詰める事務所が見える。
その奥にも一軒、人家がある。
あとは、若干まばらに人家もあるが300mと離れていた。
こんな環境から、「キツネ」の家族は人間たちの行動を見ながら、ここで子育てができると判断したのだろう。
日当たりがよく、見通しもよく、風通しもいい、場所だった。
それは、裏を返せば、人間からの臭いや音などが彼らに筒抜けているということでもある。
その現場に立ってボクは、キツネの気持ちになって、遠くに見える養魚場の事務所を見てみた。なるほど、人の動きまでがちゃんと分かるが、人間はまったくキツネ家族には気づいてないのである。
ならば、あそこの事務所から望遠鏡でこの広場を観察すれば、キツネなのかイノシシなのかが分かるはずだ。
ボクは、絶対にキツネだと思うが、イノシシだったらもう二度とこの現場には帰ってこないだろう。
しかし、草刈りをやめたから、キツネなら数日もたてば帰って来るとボクは読んでいる。
イノシシでもキツネでもいいが、子育て環境がこういうところにあることのほうがボクには興味がある。
写真:手前の色が変わって草が寝ているところが、キツネの子供たちが遊んでいる場所。
人間をここから観察して育つのだから、野生動物はほんとうに現代社会に順応していると判断できる。
2006-07-25 Tue [ 鳥類 ]
ヒヨコ1羽622円なり…
by gaku

ヒヨコは、7月13日に1羽がふ化した。
あと3-4卵が孵りそうだったので、期待して待ってみたが、結局1羽だけしか生まれなかった。
最初のヒナが生まれて24時間以内に他の卵がふ化しなければ、死卵ということになる。
3日待ってみたが、やっぱりダメだった。
12卵を抱かせてふ化したのは、たったの1羽。
ふ化率がすこぶる、悪かった。
こうして生まれたヒヨコを、なんと仲間であるはずのほかのニワトリが突いていじめるではないか。
ヒヨコの後頭部には出血したあとが2ヶ所もあり、これでは殺されてしまうから、母子を隔離するハメとなった。
忙しいというのに鶏小屋をもう一つ、急遽つくることになってしまった。
その材料代が、4万7000円。卵12個で622円だったから、まさにヒヨコ様さまである。
このヒヨコが雄鶏だったら、これまた目も当てられない。
はたして、どんなニワトリになってくれるのだろう…か?
写真:血のつながりもないヒヨコなのに、母性本能はすばらしいものがあり感心してしまう。
野良猫が相変わらず徘徊しているから、このヒヨコも無事に育つという保障もない。
2006-07-24 Mon [ 環境・ゴミ・現代社会 ]
川という字を知る…と
by gaku

中央アルプスから流れるこの川を、ボクは雨が降るたびに観察している。いつか、必ず氾濫を起こすと見ているからだ。
この川は、両岸をコンクリートでかためて「水路」のような川となっている。
両側に広がる林は、かつてこの川が荒れて運んできた土砂で、できている。
一応便宜的に現在は、水は「ここを流れなさい…」と人間が指定しているだけの川だから、本来もつ川の姿をさぐっておきたいのだ。
そのためにも、川が送ってくるサインを見落とさないようにもしている。
たとえばこの川は、不思議なことに大雨が降ってもそれほど濁らない。いつも、水が澄んでいるのである。
しかし、雨があがっても水量が減らず、いつまでも水を押し出してきているのが特徴だ。
それは、上流の山肌が降った雨を土中にいったん取り込んでから送り出してきていることを物語っている。
裏を返せばこれは、上流の山肌がしっかり雨水を含み溜め込んでいることでもある。
だから、許容範囲を超えた時点で大規模な「土砂崩れ」となるにちがいない。
そのときは、コンクリートの水路から土砂が溢れることだろう。
そして、川が本来もつ流れに向かってどのようにでも進んでいくにちがいない。
これが川なのであって、三本の「川」のどこか一本を普段は流れているものだが、その三本全部ということだってある。
小学校1年生で習う漢字だが、字のもつ意味を探ってみるとじつに面白い。
水害は、今年くるか5年後にくるか、あるいは30年後か100年後かはわからない。しかし、必ず大氾濫があるとボクは予測している。
このため、この川際にボクは仕事場を設けていたが、数年前に退却した。
水際に設置していたカメラがちょっとした雨で流されたことから、この川の危険性を知ったからだ。
大型特殊ストロボとビデオカメラに一眼レフカメラ、お気に入りの20mmレンズ。占めて50万円強の機材を一瞬のうちに失ったことは痛かったが、こうして月謝を払ったから「川」を勉強できた。
写真:この川にはヤマメやイワナもいて、大雨以外ではとても癒しの川でもある。林の中には、別荘や住宅が増えてきている。
2006-07-21 Fri [ 哺乳類・野生動物 ]
悪天候でも行動するツキノワグマ
by gaku
救出したカメラから出てきた映像を分析すると、自然界の思わぬドラマが見えてくるから面白い。
全身がずぶぬれとなった80kgほどのツキノワグマが写ったのが、18日の21時40分。
その前の4時台にも別のクマが記録されているから、ツキノワグマは活発に行動を起こしていたのである。
18日は、朝から激しく雨が降っていたが、それは夜も続いていた。
こんな日は、人間はみんな家の中に篭るものだが、ツキノワグマにとって豪雨は、彼らの行動になんら支障をきたしていないようだ。
このあと、19日の朝5時10分の写真で、カメラ周辺に水が押し寄せてきていることが分かる。
すでに、カメラには材木などが当たったらしく写角も動いている。
このままの状態で、ボクがチェックに行くまで9時間あまりを激流にさらされていたのだから、機材が流出しないほうが不思議なくらいだった。
この現場は、もう再現できそうにないから、ここでの無人撮影を中止することにした。
たぶん、今後もここにはツキノワグマが出現しつづけるであろうが、ここより少し奥へ行った場所に再設置ということになる。
再設置場所は「けもの道」が二手に分かれるところだからポイントを絞りにくいが、ツキノワグマたちの次の行動を探るには設置してみる必要があると考えている。
災害にでも遭わないと、こうした再設置のきっかけにもならないから、ちょうどいい機会のリセットでもある。
写真:このクマが写る16時間前の明け方にも、ここには少し小型のツキノワグマがきていた。そのときは、雨も小降りだった。
SIGMA SD10
2006-07-20 Thu [ 旅・取材・人 ]
無人撮影カメラが危機一髪
by gaku

雨脚が若干弱ってきたので、無人撮影カメラの様子を見に行った。
カメラは3台設置されているが、最後に行ったツキノワグマ調査カメラがタイヘンなことになっていた。
濁流に洗われて、流失寸前だったからだ。
大急ぎでこの写真を4枚撮影してすぐにカメラ救出を試みたが、目の前でセンサーが流されていった。
しかも、ここには普通車用のバッテリーを4個電源に使っていたが、あの重いバッテリーがあっというまに2個流出。
配線コードを何本か大急ぎで引きちぎり、まずカメラを高台へ避難。
そのあとバッテリー2個とストロボアンプも、救出。
三脚はそのままにしようと思ったが、足元が洗われてグラグラしてきたので、これも引き上げた。
ここまでやった段階で、濁流がさらに強くなってきたので、ストロボ等残りのパーツを諦めることに、した。
濁流の中では私たちの頭ほどの石がゴツゴツと音を立てて流れていたから、膝上まできていた水流を考えるとボク自身の身も危険に感じた。
なによりも数メートルの材木が次々に流れてくるところをみれば、上流でいつ鉄砲水が起きてもおかしくない。
しかも、10m横には普段から水の流れている本流が激流化しているから、そこへ流されれば助からないだろう。
ボクにとっては貴重品の「シグマSD10」カメラを救出しただけでも感謝ものなので、これで良しと考えたほうがいい。
仕事場に戻って、カメラからメディアを取り出し現像してみた。
なんと、そこには大きなツキノワグマが2カット撮影されていた。
データをみると、昨夜の9時40分と明け方4時10分だった。
どちらも別個体のツキノワグマだったが、どしゃ降りの雨でも関係なく、彼らは活動していたのだった。
この2頭のツキノワグマのうちの1頭は、200m離れた別の無人撮影カメラにも写されていたから、ツキノワグマは大雨の中を活発に動き回っていたことがうかがえる。
このように、無人自動撮影カメラは正しく運用すれば、自然界で「黙して語らない」部分の一端を垣間見ることができる。
ただし、今回のような自然災害なども含めて考えると、フィールドに設置しっぱなしにはかなりのリスクもともなう。
センサーなど流失したパーツは、ボクがこれまでの経験から吟味研究してきたこだわりのモノだけに二度と入手できないものもある。失ったものは仕方がないので、流用パーツを考えることにする。
こうしたリスクを乗り越えていかなければ、自然界のサインを読むこともできないからいつまでたっても「想像」という言葉だけで自然を語ることになってしまう。
ボクはそれをしたくないから、こうしてギリギリのところで自分の技術を鍛えることに腐心している。
梅雨が上がったら、またカメラの設置し直しをしなければならない。
写真:設置2年目に突入して順調な記録をつづけてきた無人撮影カメラだが、まさかここが激流に洗われるとは想像できなかった。これは、半世紀に一度の大雨ということなのだろう。








