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2006-05-29 Mon [ 哺乳類・野生動物 ]
ツキノワグマの走り幅跳び
by gaku

何冊かの出版を控えて、いま、とんでもない忙しさを迎えている。
仕事場に、カンヅメ状態である。
忙しすぎて、4日も風呂に入れないでいる。もっとも、このくらいは日常的でもある、が。
どんなに忙しくても、無人撮影装置のメンテナンスだけには出かけている。
こうした時間こそが、ある意味ではいろんなことを構想できる“発想の泉”にもなるからである。
カメラからカメラへ移動するときに、きょうは、ツキノワグマの道を使ってみた。
ツキノワグマの道は、メインストリートとみちくさ道が縦横無尽にあり、頻度の違いはあるがどこでも歩いていると考えていい。
ボクが風呂へあまり入らない理由は、ボクの素の体臭をクマに覚えてもらう意味もある。
だから、こうしてボクがクマの「けもの道」を使うことで、カメラの前にも平気でやってきてもらえるように認識させているのである。
その道の一つが、渓流を越えていた。
それも、水に入るのを極力嫌うのか、石から石へと幅跳びをして横断していっているではないか。
その証拠に、クマのジャンプと着地点となる石には、苔が生えていなかった。
イノシシとかシカ、ニホンカモシカのように、蹄を持つ動物は、滑りやすい石の上を使って跳ぶようなことはしない。
彼らは、水の中を歩くほうが安全だから、だ。
ここまで見てしまうと、クマのジャンプする姿を写真に撮ることも可能となった。
あとは、1ヶ月待つか、3ヶ月待つか、あるいは半年かといった時間をかければ、まちがいなく成功すると読んだ。
そのためには、カメラとストロボは24時間体制でずっとチャージしながらチャンスを待ち続けることになる。
と、まあ、書いてしまえば簡単だが、機材をきちんと維持する技術が大変なのである。
しかし、このカットは撮影できそうな予感が、する。
写真:矢印の石にある苔の生え方が異常だ。矢印間は、1,6m。
2006-05-27 Sat [ 旅・取材・人 ]
「けもの道」ご用達カメラ シグマSD9
by gaku
昨日は、久しぶりに東京都内の中古カメラ店をハシゴした。
ストロボの探し物があったので、新宿、秋葉原、銀座…と、歩いた。
なんと、新宿で「シグマSD9」がレンズ2本ついて、80000円で出ていた。
これは「買い」と思ったので、その場で買ってしまった。
シグマSD9は、使ったものでないとその魅力はわからないが、ボクにとってはとにかく何台あってもいいカメラだからである。
デジタルカメラをフィールドへ置きっぱなしにして「けもの道」撮影をするには、とにかくシグマSDシリーズが一番なのだ。
SDシリーズは、これで5台目となったが、いまフィールドでは大活躍をしてくれている。
昨日買ったSD9も、本日さっそく防水ケースをつくり、明日からはツキノワグマを狙う。
そのためのストロボも、昨日は7台確保して、きた。
中古カメラでも、必要な者にはそれこそ宝物であり、SD9を入手できたのは大きな喜びである。
これで、また、念願としている出版物ができると思うと、都内を一日かけて歩いた甲斐があった。
「絵コンテ」に向けての機材選びは、ボクにとっては大切なオリジナル道具である。
もっとも使いやすい機材を探すだけで、仕事の90パーセントが完了してしまうからだ。
写真:中古市場でも数が少ないカメラだけに、珍品でもあり、使いこなせる者には宝物でもある「シグマ SD9」
2006-05-24 Wed [ 哺乳類・野生動物 ]
間違いだらけの自然観 9 『日本の野生動物は謎だらけ…』
by gaku

ツキノワグマは、謎だらけの動物だ。
分かっていないことがほとんどだといって、いい。
だから、生態研究は絶対に必要なことである。そのためにも、ボクは研究を否定はしない。
現代のこの時代だから、あらゆるハイテク機器を駆使して研究することは必要だろう。
また、それができる時代でもある。
ただ、ツキノワグマを捕獲して、発信機などをつけて再放獣することは結構なことだが、最後まで責任をもって追跡できる技術確立も同時進行で研究する必要がある。
「お仕置き放獣」個体を量産させても、その後の生態的追跡ができなかったら、「手負い熊」を放しつづける責任はどこにあるのだろうか。
標識など個体識別ができるのなら、それを追跡できる人員も必要だろう。
また、100mメッシュで無人撮影システムなどを設置しながら、「お仕置き」個体のその後を追っていかなければ社会を納得させられないのではないか。
すでに、お仕置き放獣されたツキノワグマが、奥山へ行くどころか、まったく同じ場所に出現している事実がボクの無人撮影システムには捉えられている。
お仕置き放獣は、人間側から考えると理想であり希望でもあるが、ツキノワグマにとっては必ずしも「理想」ではないからだ。
人員と、あらゆる研究システムが整ってから、はじめて行われてもいいような気がする。
それなのに、目撃情報があっただけで、すぐに捕獲檻を設置するのに何の疑問ももたない社会も、おかしなことだ。
ツキノワグマのみならず、日本の野生動物のすべてが、詳しく生態がわかっていないのが実情である。
それだけ、調査をする人と、できる人が少ないからだ。
だからといって、「手負い熊」の量産を積極的にしつづけていいというものでもない。
写真:畑に張り巡らされた有刺鉄線に、イノシシとツキノワグマの毛がついていた。
この毛を定期的に見回っては回収しているが、いつも新しい毛に出会うのは、ここを彼らが「けもの道」にしているからだ。
長野県伊那谷にて。
GRD
2006-05-23 Tue [ 哺乳類・野生動物 ]
間違いだらけの自然観 8 『仕返しするツキノワグマ』
by gaku

冬眠中の穴の近くに無人カメラを仕掛けて置いたら、それをツキノワグマが叩き壊した。
そんなテレビ映像を見たのは、たしか10年ほど前だった、だろうか。
それから、何回かそのような場面を報告するテレビ番組が、最近まで続いている。
ツキノワグマは、無人撮影カメラを叩き壊すものだと、ボクもはじめのうちは思ってしまっていた。
が、しかし、ボクのカメラはどうなのだろうかと、気づいた。
30年以上も、いろんな場所の「けもの道」へカメラを設置してきているが、そのようなことは一度もない。
そこで思ったことは、冬眠穴を知るには、行動研究用の発信機をつけられている個体がほとんどだ。
ということは、いちど人間に捕まったことのあるツキノワグマなのである。
そのツキノワグマは、研究者の体臭を確実に覚えているから、捕まったことの忌まわしい思い出を秘めている。だから、無人カメラに関係者の臭いがすると、怒りの記憶がよみがえり、叩き壊すのだろう。
そういえば、ボクも10年ほど前に、
長野県内でツキノワグマを撮影中に5箇所に設置した無人カメラのストロボだけを叩かれたことがある。
理由は、現地でクマをいじめていた人の案内で設置したカメラだったから、その人の臭いが三脚周辺に漂っていたからだ。
その地域のツキノワグマには、ボクもいじめの同類と判断されたのである。
このような経験から、ツキノワグマはいじめられたことに対して「仕返し」をすると、ボクは信じるようになった。
昔のマタギは、威力のなかった村田銃で、クマをぎりぎりのところまで寄せて、一発で仕留めた。
それをしくじって、手負いにさせたら、自分がクマに殺されるといって、猟師をやめたほどだ。
ツキノワグマは、本当に賢い動物である。
「お仕置き放獣」といって、目撃例があっただけで、むやみやたらに捕獲しては再び野に放つことが一般的には支持されているが、「手負いグマ」をわざわざつくり出しているとしか思えない。
写真:「お仕置き放獣」を目的としたツキノワグマの捕獲檻。
この写真を撮ったときにも、ツキノワグマにお仕置き関係者として、ボクの臭いが察知されないかと心配でならなかった。
長野県伊那谷にて。
GRD
2006-05-19 Fri [ 哺乳類・野生動物 ]
間違いだらけの自然観 7 『無人撮影ロボットカメラ』
by gaku

無人撮影ロボットカメラを使えば、自然界のすべてが何でも撮れてしまうと錯覚している人がいる。
いや、ボク以外に、ほとんどすべての人がそう信じているのではないか、と思う。
先にも書いたが無人撮影装置は、センサー、カメラ、ストロボからなる装置だが、これだけでは使えない。
目的意識をしっかりもって、自然界の機微を熟知しないと、どんなに性能がいい装置でも充分な力を発揮しないからだ。
むしろ、性能を最大限に引き出すことの大切な部分は、それをあやつる人間の技術と努力にかかっていると言っていい。
それには、自然を熟知して、あらゆる手段を尽くしてこそ、結果がでるというものである。
例えば、
夜間活動するガに、赤外線だけを狙って飛び込んでくる種類がいることも理解しなければならない。
キリギリスの仲間が、防水用のビニールテープなどを齧って穴をあける。
電源コードを、ネズミやタヌキが齧って切断させてしまう。
クモやドロバチがレンズの前に巣をつくってしまう。
雨滴が思わぬところで機材をショートさせてしまったり、草木が一晩で10cmも生長することだって念頭におかなければならない。
結露の問題、太陽光の光害、低温や高温の対処、…etc
とにかく、カメラだけにしか関心のない人間には、このような伏兵のあることにまったく配慮できないだろう。
それなのに、ボクの機材を欲しがる人間は多い。
機材さえ手に入れれば、明日からボクと同じ写真が撮れると考えているからだ。
そのために、機材を盗みにきたり製作依頼の問い合わせは、「けもの道」を発表してからの30数年間にいやというほど経験してきている。
そうした問い合わせが、昨日も一件あった。
飛行機で2時間半もかかる地域からだったが、来月にでもでかけてきたいとのことだった。
こういう人にどんなに説明しても分かってもらえないし、機材が入手できたとしても使いこなせないから、結果的にボクの指導が悪いのだといわれてしまう。
『ヤンキースの松井選手がホームランをどんどん量産しているけれど、
松井選手と同じバットとグラブを持てば、貴方は明日から松井選手になれますか?』
このようにボクは言っても、それでも、分かってもらえない。
おまけに技術を教わるのに、使ってない遊んでいるコンパクトカメラでなんとかプロ並みの仕事ができないだろうかと、セコイことを言ってくる。
ポケットアーミーナイフと刺身包丁の切れ味の区別も、できてないのである。
カメラの技術を、そんなレベルでしか判断されていないことを知るとほんとうに悲しくなる。
アマチュアカメラマンやプロ仲間、ハテは動物や野鳥を研究している専門のプロや行政の人たちの多くが、この程度の意識レベルしか持ち合わせていないのも事実である。
これでは、ゆっくりだが刻々と変化をしつづける自然界をきちんと理解していくことは不可能だ。
写真:山中に設置中の無人撮影ロボットカメラ。
機材の心臓部だけはきちんとしたものを使うが、手抜きでもいいところはポリバケツだって流用する。
長野県伊那谷にて。
GRD








