<新着記事>
モモンガの空家 03/19
居酒屋でやってほしくない、こと 03/15
佐渡のトキをテンが襲ったというけれど… 03/12
田淵行男賞の選考会 03/11
獣害を考える 8 シカ防護フェンスの個性いろいろ 03/06
アトリの大群が現れる… 03/03
この暖かさは何なのか…!? 03/01
チョウセンイタチに挑戦だぁー 02/25
ヌートリアの現実を求めて… 02/24
雪上の足跡を見て思うこと… 02/21
食いだおれ大阪 02/16
さようなら立松和平さん 02/13
星になったヨタカが帰ってくる日 02/12
獣害対策講演で岩手県まで… 02/10
雪が降ればドラマがはじまる 02/05
2010-03-19 Fri [ 哺乳類・野生動物 ]
モモンガの空家
by gaku

ツキノワグマの3冊目となる本づくりをいますすめている。
写真をふんだんに使い、内容もまったく斬新なものとなるから、これはまちがいなくバイブルとなる写真集になるだろう。
本文が宿題としてまだ大量に残っているが、いい本になりそうな手ごたえは充分に感じている。
そのなかに入れる春の写真が急遽必要となり、近所の山に出かけてみた。
絵コンテには季節的にちょっと早くて、仕事にはならなかったが、そこでモモンガの巣を見つけてきた。
モモンガは留守だったが、撮影するには願ってもない環境だった。
巣穴は、地上3mのところにあるから、3mの三脚が要る。
そんな三脚は売ってないので、自分で作らなければならない。
こうして、巣穴を見つけた瞬間に、ボクはどのような技術をもってすれば撮影も観察も可能かということを現場で考える。
だから、直感力として、この現場は「いける」、と思ったのだ。
モモンガは留守だったけれど、巣穴環境からして、ここにはドラマがあると感じた。
だから、1年近くを無人撮影ロボットカメラで追えば、すばらしいドラマの発見ができるとオイラは読んだ。
これだけの「絵コンテ」を遂行するには、ここは山林地主の許可も取ったほうがいいと考えた。
さっそく山林を調べると、ある企業が持っていることがわかった。
すぐに、その会社へ電話すると、かねてから顔見知りの部長さんが出てきて、二つ返事でOKとなった。
うれしいこと、である。
自然界は黙して語らない世界なので、それを語らせるには相当な時間をかけて観察しなければならない。
それをこなしてくれるのが無人撮影ロボットカメラである。
このようなカメラから得られるデータを分析して、自然界の動きをボクは洞察しながら次の手を打つようにしているからだ。

モモンガは、とても小さな動物で夜行性である。
だから、これまであまりモモンガのことをやらずにきたが、関心を示していると巣も見つかるものだし、撮影もできることがわかった。
なによりも、数が少なくて貴重な動物と思ってきたが、その気になって探せばけっこう生息していることもわかった。
これで、すでに、6個の巣を発見できているからである。
自然界は、ほんとうに黙しているから、こちらから積極的に働きかけないとやはり表情を見せてくれないものである。
しかし、自然界には方程式があるから、そのちょっとした解きかたに気づけば、いともカンタンに次々に巣穴だって見つかるからだ。
やはり、フィールドに出て、自然界を複眼発想しながら、ほんの小さなサインを探すことからはじめればちゃんと応えてもくれるものである。
ここまでくれば、もうボクにはモモンガの撮影結果が見えたも同然だ。
ツキノワグマの本をつくりながらこのような付録がついてくるのだから、自然界はだから楽しいのである。
写真上:こんなところにひっそりとモモンガの巣があった。
写真下:この木肌の表情を見ただけで、いろんなドラマが展開されていることが分かる。
2010-03-15 Mon [ 旅・取材・人 ]
居酒屋でやってほしくない、こと
by gaku

今夜は、東京都内である。
新宿にある定宿に宿泊中。
明日は、朝から次の写文集となる本づくりのための打ち合わせで編集室に缶詰である。
このために、上京してきたのだ。
いわば、産みの苦しみの前夜、なのである。
新宿へくれば、10数年来の行きつけの飲み屋がある。
今夜は、カウンターの隅にひとり座り、そこでゆっくりと酒を飲んできた。
マスターを相手に、そして、お店を手伝う女優志望の「○○○」ちゃんを相手に。
だからといって、お酌をされるのはオイラは嫌いなので、手酌でペースをつくる。
こうして、放っておいてくれる店が好き、なのである。
自分の金で、自分の時間を使い、英気を養うために誰にも邪魔されず、しみじみと独り酒を飲む。
こういう時間がオイラにはときどき、必要なのである。
田舎でも、そうだ。
ゆっくり飲める店がほしい。
なのに、一昨日(13日)ったら、オイラの素性を見ず知らずの客6人にわざわざバラした店があった。
こちらは、自分の金で気分よく静かに酒を飲んでいるのに、それはないだろう。
ママが小声でバラしているのが分かったが、その直後に一瞬のうちに店内の空気が動いた。
まさに、オイラは興ざめである。
田舎では、ときにはオイラも有名税を払っている。
オイラの本をだれも買って読んではくれなくても、名前くらい知っているオヤジたちはいるものだ。
そんなところに率先してバラさなくてもいいものを、と思う。
その瞬間から、オイラは酒がまずくなるし、気分も悪くなる。
だから、すぐに店を出てきた。
こうして見限ってきた店が何軒あること、だろうか。
自分の金を使いながら、気分を悪くすることもあるまい。
飲み屋さんだって、客から金をいただいて生活している、のではないか。
それなのに、客の気分を壊すようなことをする店は最低だと思う。
これが、店を選ぶオイラの基準となっているので、この田舎の店はまた客を減らしたと思う。
飲酒運転ができなくなった今日、酒をふるまう店はそれなりに客を大切にする自覚が必要、なのに。
2010-03-12 Fri [ 哺乳類・野生動物 ]
佐渡のトキをテンが襲ったというけれど…
by gaku

新潟県佐渡市にある「佐渡トキ保護センター」のトキがテンに襲われて9羽が死んだという。
このニュースで、社会的には、テンがいちばん悪者になっていると思う。
しかし、テンは何も悪いことはしてない、とボクは思っている。
テンは、自分の生態に忠実に行動したからにほかならないからだ。
だから、これらの事件は「人災」だと思っていいだろう。
国民の膨大な税金をこうして無駄遣いしたのは、やはり人災のなにものでもない。


テンは、肉食動物である。
肉食動物は、フルーツ類も大好物である。
このため、餌が欲しければ、どんな行動にも出てくる動物でもある。
だから、トキが1羽一億円しようが、テンにとってはただの美味しそうな「餌」、でしかない。
トキは、ケージ内でドジョウなど餌がふんだんに与えられて、育てられている。
その現場そのものがテンにとっては魅力的な餌場であり、虎視眈々と狙い、忍び寄ってきたからである。
カンタンに言い換えれば、トキをつかってテンに「餌付け」をしていたと思えばいい、だろう。
そのことを予測できなかったのは、トキのことだけしか考えられず、テンという肉食動物が日本の自然界でどのような生態的位置づけにあるのかを計算できていなかったからだ。
これこそ、テンがごく普通に自然界にプログラムされて生きていることを複眼発想できなかった関係者の怠慢だった、と思えばいいのである。
だから、これはハッキリいって人災なのである。



新聞記事によれば、ケージ内を監視するカメラが24時間態勢で作動していたという。
しかし、夜間撮影ができないから異常を把握できなかったとも書いてある。
だからといって、夜間撮影ができるようなカメラをまたぞろ税金で買えば済む、という問題でもなかろう。
トキがカメラの前で殺されてもそれを撮影した映像を見ているだけでは何の問題解決にもならないし、責任転嫁のなにものでもない。
これが、テンがニワトリを襲って殺したのならニュースにもならないが、トキだから国民の関心もあるのだ。
ここはやはり関係者は、事実を真摯に受け止め、日本の野生動物の存在をもっときちんと再認識しながら節税につとめてほしい、ものだ。



写真上から:
1)テンはなかなかに魅力的な表情をしている。
2)天井の換気扇ファンを破って室内に侵入してくるテン。
3)室内のリンゴを盗んでいくテン。
4)こんなフェンスの上だって平気で移動できる。
5)監視カメラのコードをテンが食いちぎってしまった。
6)電気コード類は、テンがよく齧ることを忘れてはならない。
7)倒木だってバイパスがわりに使ってしまえる身軽なテン。
8)自然界でのテンはいろんな表情や肢体をみせてくれる。
9)屋根の上だって平気で走り回ることができる軽業師ともいえるテンの足跡。
2010-03-11 Thu [ 旅・取材・人 ]
田淵行男賞の選考会
by gaku

昨日は、田淵行男賞の選考会だった。
応募数が少ないという情報が一月ほど前にあったので心配して出かけたのだが、なんと、締め切り間際になって連日多数の応募があったそうな。
そして、最終的には129点もの大量応募となっていた。
田淵行男賞は、基本的には組み写真の応募なので、129点もあればそれに10枚から20枚が加算されるから、大変な枚数となる。
しかし、これだけの応募があっても、群を抜いている作品ははじめっから「選んでくれ~」と主張しているから面白い。
今回は、非常にレベルが高く、審査員としてもうれしかった。
ボクは、はじめから光を放っている2作品を候補にしながら審査を進行したが、結果的にはその作品が審査員全員一致のグランプリとなった。
振り返ってみれば、これほどレベルの高い作品を応募するために、全国各地で虎視眈々と牙を研いでいた若者たちがいたということにも感動した。
この状態なら、日本の写真レベルも捨てたものではないと思った。
グランプリとなった作品は、研究者でもありカメラ技術も一流であり構成力も作家そのものであった。
だから、実力で賞をもぎ取っていったといってよい作品だった。
ほんとうに、おめでとうといいたい。
授賞式は、7月10日なので、興味のある方は当日に安曇野にこられるといいだろう。
ボクの希望としては、落選した人に選考委員のコメントを聞いてもらいたいと思う。
プロの応募も多数あったが、プロが何故に落選したのかを知る絶好の機会だと思うからだ。
この田淵行男賞の審査の前日に、ボクは兵庫県の豊岡市にいた。
豊岡市では、「コウノトリ写真コンテスト」の審査委員長をしていたのである。
ここでも、順当な作品がグランプリとなったが、翌日の田淵行男賞の選考会を欠席するわけにはいかず大雪の天候不順のなかを必死で信州へ向かった。
お陰さまで、田淵行男賞の選考会にも間に合うことができた。
どんなコンテストでも、審査員として、応募者の頑張っている作品に触れることは楽しくもあり励みにもなるものだ。
だから、昨日、一昨日と、満足のいくいい時を過ごさせてもらった。
写真:田淵行男賞選考会スナップ。
2010-03-06 Sat [ 環境・ゴミ・現代社会 ]
獣害を考える 8 シカ防護フェンスの個性いろいろ
by gaku

全国各地で、獣害に困っている地域はたくさんある。
そんな地域になるべく多く出かけていき、出没動物密度と周辺住民の心理を探ることもやっている。
今回は、三重県の鈴鹿山系から岐阜県にかけて見届けてきた。
「鈴鹿」というくらいだから、この地方には昔からたくさんのシカがいたのだろう。
鈴鹿市内で獣害に困っている地域の人に聞いてみれば、たしかに昔からシカの害はあったそうな。
しかし、イノシシの害も多かったが、ここ10年ほどは圧倒的にシカの害のほうが増えているという。
これは、近畿地方や中国地方を回ってみても、どこでも聞く言葉である。
では、ここ10年ほどでニホンジカが何故に激増したのだろうか?
そういうところにも思いをはせる人間は少ないものだ。
こうした獣害対策で感じることは、各地それぞれに防護柵などの対策デザインに特徴があることである。
それは、たぶん、誰かがひとりはじめると、右にならえといったかたちで対策が実行されていくから同じデザインになるからだ。
裏を返せばそれは、シカを大量捕獲して実害を減らそうというような抜本的対策アイデアがないまま、対処療法的にその場しのぎの守勢として行われているためである。
地域に、シカの生態に秀でた人がリーダーとなってやればいいのだが、それをできる人がいないから、対策デザインがそのまま人真似となり似ていき、対策そのものも小さく、頭打ちになっていくのが現状である。
ここは、もう、激増し続けるシカをいかに大量捕獲して「資源」にしていくかといった大きな発想転換期にきている。
いまや、ニホンジカやエゾシカの激増が人間の社会生活を大変な勢いで圧迫してきていることに早く気づき、対処するべきところにきているのにである。
それなのに、国をはじめ地域行政でも、電気柵だけの対応をさせているだけで、他には何も手をつけようともしないのはきわめて憂慮すべき事態である。
生態学者にしてもシカをいかに減らせばいいかといった奇抜なアイデアを出せる人がいないから、すべてが後手にまわっているのが人材不足といってもよく、人間観察をしていても面白いところだ。
鈴鹿地方の農家のおじさんが言っていた。
「この広い地域に、ハンターは2人しかいないんだよ。それも、年寄りでいつまで続けられるとも分からん…」。
近代社会を皆が迎えたと思っている日本で、そこに暮らす地域住民たちは、自然界というところはどんなものなのかといった大切な部分を考えることなく、大きな忘れ物をしてきてしまったとボクは思った。


写真上から:
1)四日市市内で見かけた獣害防護柵。これはまさに気休めであり、シカもイノシシもすぐに突破できる。だが、なんとかしようといった努力がうかがえるのが楽しい。
2)左、鈴鹿市内。下段の波トタンは主にイノシシやタヌキなどの侵入防止対策で、上部のネットはジャンプ力のあるシカ対策。
右、四日市市内。市販の防獣ネットできれいにフェンス張りができていた。同じような防護柵が近所に固まって見られたのは、誰か一人の行動からの発案であろうことがうかがえる。
3)左、大垣市内。下段には波トタンに鉄筋メッシュフェンス。上段はビニール紐。これは、下段デザインではじめのうちは効果があったのだろうが、やがてシカがジャンプして侵入してくるようになり、対策として上部にビニール紐を張るようになったのだ。周辺の畑のほとんどがこれと同じデザインだったから、とりあえずはこれで何とか獣害対策ができていると思う。しかし、これもビニール紐の劣化と共に突破されるのは時間の問題と見た。
右、大垣市内。左と同じ地域にあったフェンスだが、これは金をかけずに近所の竹薮にあった竹で代用したフェンス。いまのところはこれでもシカ対策はできているかもしれないが、竹の老朽化とともに突破される日も近いだろう。この現状でも、タヌキ、キツネ、アナグマ、ハクビシン、アライグマ、ヌートリアには、まったく通用しない。








