2010-03-11 Thu  [ 旅・取材・人 ]

田淵行男賞の選考会

by gaku


昨日は、田淵行男賞の選考会だった。
応募数が少ないという情報が一月ほど前にあったので心配して出かけたのだが、なんと、締め切り間際になって連日多数の応募があったそうな。
そして、最終的には129点もの大量応募となっていた。

田淵行男賞は、基本的には組み写真の応募なので、129点もあればそれに10枚から20枚が加算されるから、大変な枚数となる。
しかし、これだけの応募があっても、群を抜いている作品ははじめっから「選んでくれ~」と主張しているから面白い。

今回は、非常にレベルが高く、審査員としてもうれしかった。
ボクは、はじめから光を放っている2作品を候補にしながら審査を進行したが、結果的にはその作品が審査員全員一致のグランプリとなった。
振り返ってみれば、これほどレベルの高い作品を応募するために、全国各地で虎視眈々と牙を研いでいた若者たちがいたということにも感動した。
この状態なら、日本の写真レベルも捨てたものではないと思った。

グランプリとなった作品は、研究者でもありカメラ技術も一流であり構成力も作家そのものであった。
だから、実力で賞をもぎ取っていったといってよい作品だった。
ほんとうに、おめでとうといいたい。

授賞式は、7月10日なので、興味のある方は当日に安曇野にこられるといいだろう。
ボクの希望としては、落選した人に選考委員のコメントを聞いてもらいたいと思う。
プロの応募も多数あったが、プロが何故に落選したのかを知る絶好の機会だと思うからだ。

この田淵行男賞の審査の前日に、ボクは兵庫県の豊岡市にいた。
豊岡市では、「コウノトリ写真コンテスト」の審査委員長をしていたのである。
ここでも、順当な作品がグランプリとなったが、翌日の田淵行男賞の選考会を欠席するわけにはいかず大雪の天候不順のなかを必死で信州へ向かった。
お陰さまで、田淵行男賞の選考会にも間に合うことができた。
どんなコンテストでも、審査員として、応募者の頑張っている作品に触れることは楽しくもあり励みにもなるものだ。
だから、昨日、一昨日と、満足のいくいい時を過ごさせてもらった。

写真:田淵行男賞選考会スナップ。



2010-03-06 Sat  [ 環境・ゴミ・現代社会 ]

獣害を考える 8 シカ防護フェンスの個性いろいろ

by gaku


全国各地で、獣害に困っている地域はたくさんある。
そんな地域になるべく多く出かけていき、出没動物密度と周辺住民の心理を探ることもやっている。

今回は、三重県の鈴鹿山系から岐阜県にかけて見届けてきた。
「鈴鹿」というくらいだから、この地方には昔からたくさんのシカがいたのだろう。
鈴鹿市内で獣害に困っている地域の人に聞いてみれば、たしかに昔からシカの害はあったそうな。
しかし、イノシシの害も多かったが、ここ10年ほどは圧倒的にシカの害のほうが増えているという。
これは、近畿地方や中国地方を回ってみても、どこでも聞く言葉である。
では、ここ10年ほどでニホンジカが何故に激増したのだろうか?
そういうところにも思いをはせる人間は少ないものだ。

こうした獣害対策で感じることは、各地それぞれに防護柵などの対策デザインに特徴があることである。
それは、たぶん、誰かがひとりはじめると、右にならえといったかたちで対策が実行されていくから同じデザインになるからだ。
裏を返せばそれは、シカを大量捕獲して実害を減らそうというような抜本的対策アイデアがないまま、対処療法的にその場しのぎの守勢として行われているためである。
地域に、シカの生態に秀でた人がリーダーとなってやればいいのだが、それをできる人がいないから、対策デザインがそのまま人真似となり似ていき、対策そのものも小さく、頭打ちになっていくのが現状である。

ここは、もう、激増し続けるシカをいかに大量捕獲して「資源」にしていくかといった大きな発想転換期にきている。
いまや、ニホンジカやエゾシカの激増が人間の社会生活を大変な勢いで圧迫してきていることに早く気づき、対処するべきところにきているのにである。
それなのに、国をはじめ地域行政でも、電気柵だけの対応をさせているだけで、他には何も手をつけようともしないのはきわめて憂慮すべき事態である。
生態学者にしてもシカをいかに減らせばいいかといった奇抜なアイデアを出せる人がいないから、すべてが後手にまわっているのが人材不足といってもよく、人間観察をしていても面白いところだ。

鈴鹿地方の農家のおじさんが言っていた。
「この広い地域に、ハンターは2人しかいないんだよ。それも、年寄りでいつまで続けられるとも分からん…」。

近代社会を皆が迎えたと思っている日本で、そこに暮らす地域住民たちは、自然界というところはどんなものなのかといった大切な部分を考えることなく、大きな忘れ物をしてきてしまったとボクは思った。





写真上から:
1)四日市市内で見かけた獣害防護柵。これはまさに気休めであり、シカもイノシシもすぐに突破できる。だが、なんとかしようといった努力がうかがえるのが楽しい。

2)左、鈴鹿市内。下段の波トタンは主にイノシシやタヌキなどの侵入防止対策で、上部のネットはジャンプ力のあるシカ対策。
  右、四日市市内。市販の防獣ネットできれいにフェンス張りができていた。同じような防護柵が近所に固まって見られたのは、誰か一人の行動からの発案であろうことがうかがえる。

3)左、大垣市内。下段には波トタンに鉄筋メッシュフェンス。上段はビニール紐。これは、下段デザインではじめのうちは効果があったのだろうが、やがてシカがジャンプして侵入してくるようになり、対策として上部にビニール紐を張るようになったのだ。周辺の畑のほとんどがこれと同じデザインだったから、とりあえずはこれで何とか獣害対策ができていると思う。しかし、これもビニール紐の劣化と共に突破されるのは時間の問題と見た。
  右、大垣市内。左と同じ地域にあったフェンスだが、これは金をかけずに近所の竹薮にあった竹で代用したフェンス。いまのところはこれでもシカ対策はできているかもしれないが、竹の老朽化とともに突破される日も近いだろう。この現状でも、タヌキ、キツネ、アナグマ、ハクビシン、アライグマ、ヌートリアには、まったく通用しない。


2010-03-03 Wed  [ 鳥類 ]

アトリの大群が現れる…

by gaku


今日は、南アルプスに設置してある無人撮影カメラのメンテナンスに出かけた。
カメラは順調に記録をつづけていたが、それよりも現場にアトリの大群がいたのには驚いた。
とにかくその数は、10万羽以上。
空が黒くなるくらいに群れていたからである。

今年は、アトリの当たり年だが、南アルプスにねぐらをつくっていたとは知らなかった。
午後4時くらいから、100~300羽ほどの群れが三々五々集まってきて、やがて数千羽の大きな群れができあがっていく。
そして、夕方が迫ってくると、いくつもの大群が合流してさらに大きなうねりとなって谷あいを乱舞するではないか。
その大群が頭上を飛べば、それはそれは轟音となって、うなりをあげてくる。
凄い、光景である。



このような大群は、伊那谷では1970年代に一度あり、それ以来の群来である。
いやぁー、 自然はこれだからオモシロイ、のである。
それも、アトリを探るべくして出かけた南アルプスではなかったが、そこで偶然にもこのような大群に出会えることも奇遇である。
これらのアトリは、まだしばらくはここでねぐらをとるのであろう。
たぶん、今後3週間くらいは定着するにちがいない。
なので、また時間をつくって現場を訪ねたいと思っている。



それよりも、今日は、アトリの観察中にさらに付録もあった。
なんと、クマタカの巣を見つけてしまったからである。
アトリの群れを眺めて空ばかりを見ていたら、クマタカが執拗に飛んでいた。
まさか、クマタカが飛翔中のアトリを捕食することはないから、この飛翔には意味がある、と思っていた。
すると、クマタカの夫婦間だけで交わす甘え声が聞こえてきたではないか。
それは、谷あいにのびるひときわ大きなモミの木からだった。
そこに直径1,5mを越える黒々とした巨大な巣が、見えた。

写真:
1)なぜにこんなに群れなくてはならないのかと思うほど、アトリは大きな群れとなっていた。
2)林に向かって急降下をしてくるアトリの群れ。
3)クマタカは、見慣れてしまえばどんなに遠くてもそれと、すぐに分かってしまう。


2010-03-01 Mon  [ 両生類や魚類など ]

この暖かさは何なのか…!?

by gaku


この写真は、2月23日に撮影したものだが、もうカメが起きだして甲羅干しをしていた。
東海地方のドブ川での光景である。
カメは、アカミミガメという外来種。

まあ、カメだから、冬眠明けで甲羅干しをしていてもいいのだが、ちょっと違ってもいた。
それは、カメの頭の中がすっかり冴えていて、10m先に人影を見ても水中に飛び込んで逃げてしまうことだ。
冬眠明けのカメは、本来ならば「ボー」っとしていることが多く、ときには触れるくらいまで近づけるものもいる。
なのに、今年のカメたちはみんな敏捷で活発なのだ。
その動きは、まさに真夏のカメの動きみたいだった。



写真:
1)甲羅干し中のアカミミガメたち。
2)ヌートリアが横を歩いても驚かないが、人間には警戒心を示す。


2010-02-25 Thu  [ 哺乳類・野生動物 ]

チョウセンイタチに挑戦だぁー

by gaku


東海地方のあるドブ川の堤防に車を停めて、ヌートリアの出番を待っていた。
その視界に、イタチの姿が入ってきた。
イタチは、軽やかにドブ川の土手を走りながら、ボクのほうに向かってくる。
まあ、イタチの習性を知っているだけに、一瞬に通り過ぎるであろうから、撮影など期待もしてなかった。
それでも、期待するのは「チョウセンイタチ」という外来動物であってほしいということ、くらいだった。

そのイタチは、どんどん近づいてきて、車から6mくらいのところを草陰に隠れながら通り過ぎていった。
まあ、そんなものだろうから、行きたければ行くがいいと見送った。
そのイタチが、10分ほどして、今度は再び戻ってくるではないか。

3mほど進んでは、後ずさりしては、また進む。
進んだかと思えば、また戻ってきてあたりを警戒していく。
その過程で必ず立ち止まることをするから、その瞬間を狙ってカメラを構えてみた。
カメラは、ニコンD700に500mmレンズが付いていた。
一瞬のチャンスがあったので、3枚ほどの連写。
手ごたえは充分にあったが、イタチは再びどんどん遠ざかっていった。
もう、これでお終いと思ったら、また5分ほどして今度は戻ってくるではないか。



なにやら獲物を持ってのお帰りのようだ。
それも、野鳥のケリらしい。
獲物を運んでは、途中で放り出し、草陰に身を隠す。
意を決したかのように再び獲物に向かって、3mほどくわえて運んでは、また草陰に身を隠す…。
このイタチ独特の行動は、猛禽類に自分が捕まえられないための自衛行動だからである。
このような行動の繰り返しで、イタチはケリを運んできたが、目の前に来るころには草に隠れてしまってまったくの死角になってしまった。

イタチは、まちがいなくチョウセンイタチだった。
どうやら自分で捕まえた獲物を、どこか安全な巣穴まで運ぶ予定だったのだ。
道中の安全を確かめるために、まずは手ぶらでいちどコースを見回り、再び戻ってこんどは獲物を運んできたのだった。

まあ、ニホンイタチであろうがチョウセンイタチであろうが、行動には大差ないから別に驚くことはないが、この一瞬の出会いでボクはチョウセンイタチをきちんと撮影したいと思うようになった。
外来動物が日本在来のイタチを追いやるから迷惑だとか、どうのこうのと言う人は多いが、ではチョウセンイタチをきちんと見て対策をたてられる人がどのくらいこの日本国内にいるのだろうか?
大した生態写真もない現代社会なのだから、ここはオイラの技術がどのくらい通用するかを試してみたくもなった。

イタチは、とにかく神出鬼没でなかなか出会いにくい動物の代名詞でもある。
でも、彼らの生態さえ押さえてしまえば、なんとかなるからである。
誰もチョウセンイタチをきちんとやっていないのならば、ここはひとつオイラの技術で「挑戦」してみてもいいと思った。
さっそくチョウセンイタチだけに反応する媚薬を考え、超ワイドレンズで狙う絵コンテが閃いた。
そのうちに、そんな写真のお披露目もできると思う。

写真:
1)この体色、表情は、まぎれもないチョウセンイタチである。
2)繁殖期に入ったケリをどこかで捕まえ、巣穴まで運んでいってゆっくり食事の予定なのであろう。



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