森の365日Homeメルマガ


================================================================
    宮崎 学 【野生は笑う】 (名古屋での取材)vol.38
============== http://www.owlet.net/ ============================
明日(15日)に、
『さらさらサラダ』という生番組がありまして、そこにちょこっとだけ出演なんです。
愛知、岐阜、三重の3県しか電波が流れない番組です。
もっとも、毎月放送しながら、一年後には特集番組になる予定です。(gaku)
◆というわけで、4月15日ですが、番組は11:05から、
gakuの出演は11時半頃になるそうです。
今回のメルマガは、HHKの放送記念(?)として一番最新のgaku日記をお届けします。
最初の2本はちょっとショックを受けるような内容かもしれませんが、
3本目まで読んでみてくださいね。そして、日記中で
明日放送される番組のことにふれています。
塾生の皆さんのひとこと感想文も読んでください。
                          (from モモンガ)
------------------------------------------------------------------------
◆よりぬきgaku日記
『プロとしての仕事…1』 2004/04/03(土曜)
東京のあるテレビ局から、「フクロウ」の番組をつくりたいのだけれど、
協力願えないかという依頼があった。
内容は、15分の教育番組だった。
春を迎えてフクロウが子育てをして巣立っていくシーンを番組にしたいのだと、いう。
このような依頼を受けてすぐにボクが考えることは、
どのくらいのクオリティーで何シーンが必要かということである。
15分なら1シーンを60秒としても15シーン。
それでは構成ができないから、2秒シーンから数秒シーンの組み合わせの連続となろう。
時間を縦軸にしながら、フクロウの生態を追い季節を追い、
半年間にも及ぶ番組構成を考えれば、どう計算しても80シーンくらいの映像が必要だ。
しかも、ボクが関わる以上はクオリティーを下げるわけにはいかない。
しかし、そのロケ期間が12日間。
ロケ隊は、カメラマンに照明、音声、ディレクターの4人チームが来るだろうから、
生態も何も分からないメンバーのコーディネートはボクの技術にかかってくる。
これらのメンバーが12日間びっちり張り付いてくるわけではないので、
それぞれのシーンごとに1〜2日間やっては、カットシーンを半年間にわたって積み上げていくことになる。
それはそれでいいとしても、相手はフクロウである。
人間みたいに、何日の何時何分に出てきて、
シーンどおりのポーズをとりながら希望する動きを見せてくれというワケにはいかないのである。
だが、それをできるかぎり手元に引き寄せるのがボクの技術でもあるが、
撮影チャンスはそれほど何回もあるわけではない。
しかし、それを可能にしなければならないのだから、
ロケ隊が到着するまでチャンスを維持するには膨大な時間がかかる。
ざっと見積っても、12日間の5〜6倍の日数がかかるのである。
だが、ディレクターにはそのことが理解できてないようすだった。
現地へ行けば、いつでもフクロウがいて、写真集のような撮影ができると思っている。
だから、撮影もカンタンにできてしまうだろう…と、きわめて安易なのだ。
それでいて、12日間のロケ期間の予算提示がコンビニのアルバイトの時間給より安いのである。
金銭的なことを言いたくはないが、
ボクの「技術」はその程度にしか理解されていなかったのかと思うと悲しかった。
そこで、ボクは、
『フクロウの巣も教えてあげます。スタジオもすべて貸してあげますから、
皆さんでどうぞお撮りください。』
と、いってあげた。
すると、ディレクターは
『いや、ミヤザキさんが協力してくれないと我々には撮影ができません…』
結局この仕事は、お断りした。
仕事を断れば後でどんなことを言われるかくらいは分かっている。
しかし、ここはプロとしての「技術」を理解してくれない限りボクは断るしかなかった。
(写真上 雨の夜に、フクロウは森に向かって帰っていった。
 写真下 地上に舞い降りてもフクロウは絵になる。)
------------------------------------------------------------------------
●ある有名な画家がレストランのテーブルクロスに落書きしてました。
同じ卓についていた人が
「画伯、素晴らしいスケッチですね、幾らかでお譲りいただけませんか?」
「有り難うございます。では,20万円頂きましょうか」
「20万 ? 貴方はたった10秒でその絵を描いたじゃないですか,ちとお高くありませんか」
「いいえ,このように描けるまで30年かかりましたから」
(灰色海豹)
------------------------------------------------------------------------
●ただより高いものは無い。そんな、諺は死語なんでしょうね。
正当な対価を払うことは、その仕事への感謝だけでなく、将来の仕事への投資だとも思うのですが。
依頼を受ける側としても、正当な対価を貰えば、
それに見合った技術を洗練、維持していこうと思うものだと思うのです。selchie
------------------------------------------------------------------------
●灰色海豹さんの小話に一票。そのとおりだと思います。 小坊主
------------------------------------------------------------------------
●マスコミというのは、なぜ横柄なんでしょう。
以前某放送局が自然観察会の取材に来たとき、
「こっちは取材してやってんだから」と言われたことあります。
本気で殴ろうかと思いましたが、周囲になだめられました。
経費は一流、腕は二流と言われてる放送局です。 YUJI
------------------------------------------------------------------------
●○○の生態を1年間かけて撮影しました‥と言っても3,4回 ちょっと来ただけなんですよね。
オイシイところを簡単に撮れると思ったのでしょうか?
gakuさんのところに 依頼に来る前にもっと 勉強するべきでしたね。
相手も その道のプロなのでしょうから 今回は大いに肝に銘ずるものがあり 
反省などされたなら gakuさんの心が 言葉が生きてきます。
 花柄クジラ
 
------------------------------------------------------------------------
『プロとしての仕事…2』       2004/04/07(水曜)
青森県のリンゴ畑にフクロウが巣をつくっているという。
それを地元の観察家がコーディネートして、あるテレビ番組ができるらしい。
その取材に着手しているという噂は、ボクの耳にも届いていた。
そこでボクは、どれほどの番組ができるのか楽しみにしていた。
巣まわりの撮影なら誰でもできるだろうが、
巣以外の場所での撮影はそう簡単にはできないことを知っているだけに、
番組そのもののクオリティーまで見たいものだと思っていた。
そこには当然コーディネーターの技術と撮影スタッフのセンスが見え隠れするから、
フクロウを通してのボクの自然観とを見比べる意味でも楽しみだった。
その番組スタッフから電話がきた。
『フクロウが獲物を襲うシーンをどうしても撮れないので、
ミヤザキさんのところで撮影させてもらえないだろうか。
 撮影料はいくらでも出す…から。』
そういって、ミドルクラスの乗用車が買えるほどの技術料を提案してきた。
これには、ボクも驚いた。
やっぱりコーディネーターの技術と知識不足が露呈していたからだ。
それに乗っかった番組ディレクターも気の毒だが、
ディレクター自身の人を選ぶ真贋力不足も否めないだろう。
加えて、そのあげくにボクのところでの捕食シーンの差し替えというのにも嘘があるではないか。
そこでボクは、
『申し訳ないけれどお断りします。
 青森でやりかけたフクロウに信州のフクロウが登場するのは、視聴者を裏切ることになります。』
プロの意地にかけても、ボクはお断りした。
ボクらの仕事にはクオリティーというものがある。
そう簡単に撮れないシャッターチャンスをモノにし、
ライティングや訴求力などを加味しながら一枚の写真そのものに難易度を高めていくものである。
他人が簡単に真似できるような仕事をしていたのでは、プロとして失格である。
そうした「難易度」達成が技術力なのであって、クオリティーなのである。
そのクオリティーの高い作品をどれだけ維持し続けるかに、ボクは写真家としての生命を賭けている。
いわば、職人なのである。
こうした姿勢で生きているのに、どんなにクオリティーをあげて仕事をしても、
それを認めたがらない人々がいるのはとても残念なことである。
だから、これらの一連の仕事依頼のはがゆさを感じたボクは、「フクロウ谷」を閉鎖した。
もう、二度と新しいフクロウの写真は撮らないだろう。
いや、ボクがこれまで撮ってきた写真群と、
今後全国から出てくるであろうフクロウの写真とを見比べてもらう意味でも、そのほうがいいのかもしれない。
(写真上・この「枯れ木」はカエデの仲間だろうか。南アルプスの林道脇に立っていた。
 絵になる木だけに、この木にボクはどうしてもフクロウを止まらせたかった。
 山林地主を調べて事情説明をしたら、すぐに「枯れ木」を譲ってくれた。
 お礼に5000円を支払い、レッカー付きの2tダンプを2万5000円でチャーターして、
 枯れ木を傷つけないようにボクは2時間かけて運んできた。
 そして、兼ねてから借りてあった休耕田スタジオへ「枯れ木」を立てた。
 その枯れ木に、計画どおりにフクロウがとまったのは15日後だった。
 
 
------------------------------------------------------------------------
●私は写真家ではありませんが、分野はちがえど技術者として、非常に切ない思いを感じました。
今の時代、職人は認められず、周囲から疎んじられる存在にさえなったりします。悲しいことです。
YUJI
------------------------------------------------------------------------
●gaku先生のお話を伺っていて,まずよく相手を知ることが第一歩だとおもったので,
gaku塾に入れて頂いてから,著書を読み進めています。
その中の著書「森の365日」では「フクロウ」撮影の時のgaku先生の日記が書かれてましたね。
いかに観て,いかに工夫して,どんなに時間を掛けて撮影されていったか,伝わってきました。
(「野生動物が見つめるゴミ列島」ではgaku先生の幼少時代からの生い立ちや
プロになるまでのこと・その撮影姿勢を読ませて頂きました!)
仕事依頼のディレクターさんたちも
gaku先生の写真だけでなくて,プロとしてのgaku先生の撮影姿勢を
知るべきだと思いました。 (こばし)
------------------------------------------------------------------------
●15分番組だからって、そのぐらいの時間をつなぐフクロウの写真を
簡単に撮ると思っていたのでしょうか?あまりにも安易過ぎますよね!!
実は恥ずかしながら僕の事、この前テレビで放送されましたが、
撮影には朝10時から、午後5時までかかって、放送されたのは、わずか3〜4分でした。
金額は高いけど、撮影の内容が納得いかないからって、
辞退できるgaku先生は凄いです。
でも撮影が難しいと分かったら、いくら金額積んでも、事実と
違っても放送してしまおうと言うマスコミの態度は許せませんね!!
それにしても止まり木をトラックで運んでくるなんて凄いですね!
(てっちゃん)
------------------------------------------------------------------------
●このような仕事を引き受けたらgakuさん一生心にトゲが刺さった気分になるんじゃない?
良かったですね〜引き受けなくて。
フクロウ谷閉鎖?これも時代が求めている結果かも。北割H
------------------------------------------------------------------------
●フクロウをとまらせる為に、枯れ木を移動したのですか !
そこまでやる、やれる写真家って他にいるんでしょうかね ?
車買える程のギャラを辞退したのも、スゴいです。
職人って、「こだわり」があるからなぁ。
(灰色海豹)
------------------------------------------------------------------------
『プロとしての仕事…3』     2004/04/13(火曜) NHK名古屋放送局と、いま仕事をはじめている。
この先一年間にわたって、名古屋市内の自然度をはかる仕事である。
毎月一回スタジオ収録もあるが、フィールドロケもある。
一年後には、ひとつの特集番組になる予定だ。
この仕事に先立って、ボクは出演料などは一切交渉していない。
NHKの規定に沿えばいいと、思っているからだ。
その理由は、この仕事には何よりも新しさがある。
名古屋という中核都市でいま何が起きているのかを知るためには、
ボクが独自で動くより、このようにマスコミと一緒にプロジェクトを組んだほうが効率がいいからだ。
そして、一緒に仕事をしていけば新たな発見にもつながるし、ボク自身の勉強にもなる。
だから、このような仕事はタダでも「やりがい」があるのである。
それに比べてフクロウのように、すでに写真集もつくり、
すべてをやり終えた仕事を繰り返すことには時間の無駄がある。
フクロウは、もう20年も前から「野外スタジオ」という新たな試みでのスタートだった。
その目途がつき、ほぼ完璧に満足のいく仕事を成し終えたところである。
そだけに、20年前にやってきたことの焼き直しで、
時間を無駄にすることはすべての意味で今のボクにはマイナスになる。
すでに、気合も抜けているから、それと同じコトを繰り返してくれといわれても困るのである。
自然は毎年動いているのだから、
写真家としてボク自身の独自の目で見届けていく仕事をするには時間がない。
春夏秋冬の季節は、一年でそれぞれ一回しかないのだから、
人生の時間枠だけは有効に使いたいものである。
ボクもすでに、55歳。60歳までには冬も夏も春も秋も、5回しかないのである。
そう考えると、あとどれだけの仕事が残せるか不安だ。
それなのに、これまでやってきた「鷲と鷹」や「フクロウ」のような
ある意味ではやり終えたことで時間をとられることは不本意なのである。
それよりも、新しいことへの有意義な時間をつくりたい。
それが今回の仕事であって、「昔の名前で出ています…」というような仕事の依頼でないから、
ボクも気合が入るのである。
雑誌や新聞、テレビ関係者も、
オリジナルな発想で仕事をしようとしている人はほんとうに少なくなってしまった。
だから、ボクがオモシロイと思って燃えていることには一緒になって燃えてもらえれば、
ボクだって十分に力を発揮できると思う。
まさに、同時進行で仕事をしてもらえることがうれしいのである。
そんな仕事なら、ボクもすぐに乗る。
それが、限られている時間に技術を賭けているプロの仕事だからである。
(写真・名古屋市内の「堀川」で花見をする「マガモ」
「アカミミガメ」「ニシキゴイ」などの生物たち。
  堀川は名古屋城のために400年前に掘られた運河。
  その自然を現代に見ることは、やはりオモシロイ。)
------------------------------------------------------------------------
●仕事に対するポリシー! ステキです。
過去の栄光も凄い!‥のですが 前向きが もっと凄い!
もっと もっとgakuファンになりました。
花柄クジラ
------------------------------------------------------------------------
●ふくろう谷はなくならないですよね!・・よかった。・・心配でした。
3月のはじめ・・区の主催の起業セミナーをうけました。刺激的な講習でした。
gaku塾も刺激的です、知らないこと多すぎて、何をどう質問していいか・・。
花の世界も刺激的です・・過去と同じことしていては×なのです。
世界情勢も刺激的なことばかり・・・。
1日も早く平穏な日がおとずれますように・・・。(まる)
------------------------------------------------------------------------
●守りに回らず、攻め続ける姿勢。。。見習いたいものです。
(灰色海豹)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  宮崎 学 【野生は笑う】(不定期発行)
□URL  http://www.owlet.net/  □E-mail  momonga@owlet.net
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
尚、このメールは「インターネットの本屋さん「まぐまぐ」 を利用して
発行しています。不必要になった時はこちらから解除できます。
尚、登録すると同時に、まぐまぐからのマガジンも届きますが、
そちらの購読継続・解除も自由に行えます。
http://www.mag2.com/   (マガジンID: 0000075881)

 

 

 

 

宮崎学 森の365日 ▲Top

Copyright (C) 2003 OWLET.net(Manabu Miyazaki)