『沖縄チャンプルー』
沖縄県は、チャップルー料理が有名だ。
混ぜて炒めることを、チャンプルーと呼ぶのだそうだ。
野菜や肉、豆腐などを炒めたおいしい料理がある。
料理もさることながら、近年の沖縄の自然は
驚くほどにチャンプルー化が進んでいる。
とにかく、いろんな生物が、世界中からやってきたり連れてこられたりして、
沖縄本島などで帰化しているからだ。
■アフリカからやってきたテラピア
沖縄本島の河川には、どこをみても魚影が目につく。清流の水や汚濁水にいたるまで、確かに魚がいる。
そんな魚影にはじめは何も感じなかったが、よくよく観察してみれば、ちょっと違っていることに気づいた。
背びれや腹びれがおしゃれに長かったりして、小魚には決まって同じような黒い斑点がある。これはどうも変だと気にしはじめてよくよく観察すれば、やはり日本では見たこともない魚たちだ。それもそのはず、これらの魚は「テラピア」といわれるアフリカ原産の移入種だからである。
「モザンビークテラピア」とか「ナイルテラピア」と呼ばれる魚だが、成長が早く汚染にも強い。食用に適しているという理由から、戦後いち早く沖縄地方に養殖のために入ってきた。それが、今日ではほとんどの河川に野生化して、すっかり「沖縄の魚」として生きている。それまでいたコイやフナが駆逐されて姿を消してしまって、沖縄本島ではテラピアだけがどこの河川にも元気に泳ぎ回っている。農薬汚染の進む用水路まで、テラピアはたくましく生きているのだから驚く。 |
■南米からのお客さんはジャンボタニシ
田んぼや沼で大繁殖しているのがスクミリンゴガイという巻き貝、別名をジャンボタニシという。名前から想像すると巨大かと思うが、日本にいる在来タニシとほぼ同じくらいの大きさだ。
このスクミリンゴガイは南米の淡水に生息する貝だが、成長が早くて、食味も「サザエ」に似ていることから1980年代前半に、養殖目的で移入された。その養殖が軌道にのらず、逃げたり放たれたのが、いまではすっかり野生化して田んぼなどに見られるのである。
このスクミリンゴガイは、真っ赤な「筋子」ような卵を水辺の草などに産みつけるので、その卵塊によって棲息分布がよくみえる。また、山野には同じく食用として移入された陸生巻き貝のアフリカマイマイも大繁殖をしている。 |
■シロガシラはどこから来たのか?
市街地から村落にいたるまで、どこにでも見られるのがシロガシラ。電線や樹木の枝で「ジュル ジュル」っと鳴いている姿には、すっかり沖縄の風景が似合う。
しかし、この野鳥は1976年に糸満市で見つかったのがはじめといわれている。それが、今日では名護市北部にまで繁殖地を広げ、本島全域で目撃できるのだから、劇的に増加を続けているといっていい。
このシロガシラは、八重山地方に「ヤエヤマシロガシラ」といって昔から棲息しているものがいるが、それとはどうやら別物らしい。台湾から直接渡ってきたという説をとなえる人もあるが、基地からペットが逃げ出したか、飼い鳥がカゴ抜けしたと考えていいだろう。
しかし、わずか20数年で沖縄本島では爆発的に増えている野鳥のひとつだ。 |
■可愛いいアミハラもひっそりと潜伏中
人家付近の田んぼや畑で、「ビュービュー」といった柔らかくて小さな声がしていた。スズメより小さなアミハラという鳥だ。この野鳥の故郷は東南アジアから台湾。それが、沖縄本島でも見られるようになってきた。しかも、近年では奄美群島の徳之島でも、観察されはじめてきている。
このアミハラは雄のお腹が網目模様になっていることから、このような名前がついた。台湾から直接飛来したとも考えられるが、ペットがカゴ抜けして野生化したこともいなめない。
沖縄本島のある農村では、100羽ほどの群れをみた。 |
■島の近代化が帰化動物に味方している
沖縄県は昨年度の陸地面積が、日本中でいちばん増えたところだという。つまり、それだけ埋め立てが進んだということなのだ。
その過程で、海岸線などには文化的な公園ができ、街路樹なども植えられていく。そうした街路樹に実のなる木があるから、その実をシロハラがさかんに食べていたのには笑えてしまった。
また、農村部では甫場整備が進み、コンクリートの水路なども延びている。そんな水辺がテラピアの絶好な棲み場所になっていたり、ジャンボタニシの移動経路になっていた。
こんな現代社会だから、人々にとっては生活しやすいように、環境の改変は必要であろう。そうした改変をよろこび、味方にしていく帰化生物がいるのだから面白い。
ハブ退治にマングースが導入されたり、沖縄には意識的に外部から生物が持ち込まれることが多かった。その結果、国際的な帰化動物のメッカとなってきているところが、まさに「沖縄チャンプルー」だ。 |
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| スクミリンゴガイの卵塊。 |
アミハラのメスが、地上で雑草の種子を拾って食べていた。
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アミハラのオスが、雑草の種子をさかんにしごいて食べていた。
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シロガシラが公園に植えられた椰子の一種の実を食べていた。 |
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| 後頭部が白いからシロガシラという名前になった。 |
水中のスクミリンゴガイと、ショウブに産みつけられた卵塊。 |
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海岸線が埋め立てられて、どんどん近代化風景に変貌をとげていく。
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こんな農業用水路にも、テラピアが群泳していた。 |
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テラピアの夫婦。手前の黒いのがオス。オスはさかんに体色を濃くしたり薄くして、メスの気をひいていた。
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スクミリンゴガイの卵塊群のあるショウブ田に、セイタカシギが遊んでいた。 |
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テラピアの稚魚が群れをなして河川を埋めていた。
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名前のとおりオーストラリアに故郷をもつ、セイタカシギ。沖縄には迷ってきていた個体。 |
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アカハラダカは中国、朝鮮半島で繁殖して、9月下旬には沖縄地方を渡って東南アジア方面へ越冬にでかける。
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