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『オオタカ三兄弟』(その2)

オオタカが長男なら、ハイタカは二男、ツミは三男。
その長男にあたるオオタカが、現代では異常に増え続けている。
それに対して、ハイタカは激減している。
その原因は、どこにあるのだろうか。


■若い林が減った
  戦中の物資調達からはじまった、日本の山野の激変。その様相がそのまま引き継がれて来たのが、今日私たちが周辺に見ている山野である。
  山野を見渡せば一見緑があるから、私たちには樹木は変化していないものと思ってしまう。しかし、実際には変化しつづけているから、それらを巧みに読んで生活しているのが野鳥たちなのだ。
  戦中から昭和30年代前半までは、日本中が若い林だらけだった。戦後の物資調達の為にどんどん伐採された後に植林された若い木々、そして林の手入れもその頃はさかんだった。
   もちろん、そのころのライフエネルギーは「薪炭」が主流だった。だから、人々は里山に入り浸るのが仕事だった。植林した若い樹木の成長を願って、幹を大切に育て、下枝や下藪を丁寧に刈り込んでいた。このような林は、内部がとてもすっきりとしていた。
  そうした林は、ハイタカには絶好な棲み場所だった。林床の地上すれすれのところを超スピードで低空飛行してきて、巣のある木の近くにくると、直角に舞い上がって巣へ飛び込んでいた。だから、この時期のハイタカはどこにでも巣づくりができた。
  ところが、こうした林は、オオタカにとっては非常に棲みにくかったのである。だからその時期は、若い林を好むハイタカが優勢だったのである。

■悠々自適な三男
  それが、昭和30年代後半からの高度経済成長下で、日本中の山野が変化した理由は前回にも述べたとおりである。わずか30年の間で林相が変わり、極端に影響を受ける猛禽類がでてくることに自然界の不思議を感じる。
  そうしたなかで三男にあたるツミは、いたってマイペースで生きてきた。体の大きさが次男のハイタカとは若干違うだけのツミは、小鳥を食べる点ではハイタカとは餌が競合する。しかし、巣作りの場所がハイタカほどシビアに限定されないから、森林の変化にさほどの影響も受けずにこれまできたからである。ツミはどちらかといえば樹木の頂上付近に営巣するから、林相の変化にはある意味で無頓着といっていいからだ。
  そんなツミだから、近年は都市部の公園などでも子育てをするようになってきている。次男のハイタカには考えられないような生き方を、三男がはじめているのである。この動きは、ある意味では長男のオオタカにも見られはじめており、三兄弟の中では次男だけが現代社会に乗り遅れてしまっているようだ。
  このようにお互いに似た生活をする猛禽類が、私たち人間社会の構造変化によって翻弄されている。これも自然界からのサインであって、自然は時間とともに確実に動き変化していることを私たちに教えてくれている。そんな変化を見届けることが写真のいちばん面白いところであって、それを発見することにボクは歓びを感じている。

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水平飛行をするツミ。 樹頂部であたりをへいげいするツミ。

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ヒナを暖めるツミ。巣からは周辺の山々が一望できる。
ツミの巣と卵。

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ハイタカの巣と卵。
ハイタカが捕らえてきたスズメの巣立ち雛。ツミもスズメは格好な獲物としている。

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(左)ハイタカのヒナ。
(上)植林されたカラマツに巣をかけたハイタカ。

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カラマツ林に作られたハイタカの巣。植林20年生のカラマツ林は、ハイタカにとってはすっきりしているから内部を飛翔しやすい。
小鳥を食べるハイタカの雄。

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