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『浜辺の掃除屋、ヤドカリ君』

南の島々に行けば、 山国にはいない生物たちに出会えるのがうれしい。
その一つに、オカヤドカリがいる。
ひょうきんな外見のカワイイやつだが、
水際では重要な役割を持って暮らしている。
そして貝殻を背負ったこの「カニ」に、
近年わずかではあるが異変が見られるのだ。


■いろんな宿でも中身はいっしょ
 奄美群島の徳之島。南国情緒あふれるこの島では、年間を通してオカヤドカリがみられる。
 海岸線から山野まで、どこへ行ってもふと足下をみるとヨチヨチと歩いている。背負っている宿は借りモノだから、サザエなど海の貝からカタツムリなどの陸の貝まで、いろいろな仕様の「カニ」がいる。だから、ときには宿の奪い合いやら中古住宅セールで、サザエが一晩でカタツムリになってしまうこともしばしば。
 島へ着いてすぐ、白い砂浜を歩くオカヤドカリに出会った。そのしぐさは、めちゃくちゃ可愛い。しかし、これらをただ可愛いとだけ思ってみてはだめ。オカヤドカリが暮らすには、それなりにちゃんとした意味があって生きているのだから、それを確認しなきゃーいかんのである。
 とにかくヤドカリは、海岸に死んで打ち寄せられた魚や水棲生物が主食。海草や果物、野菜くずまでも、どん欲に食する浜辺の掃除屋だからだ。

■みごとな水際のスカベンジャー
 夕方の砂浜で、小魚が死んでいるのをみつけた。
 死んでまだ浅いから、やっとハエが来はじめたところだった。ひょっとすると今夜は、ヤドカリが来るかもしれない。そう思ったボクは、三脚にカメラをセットして、小魚にフレーミングした。ヤドカリは人間の動きに敏感に反応するから、小魚の脇に撮影者がいないほうがいい。そこで、10メートル離れたところでシャッターが切れるように、リモコン撮影装置もセット。
 もうすぐ暗くなるであろうと思われるころ、1匹のヤドカリがやってきた。小魚の発するかすかな死臭が、近所を歩くヤドカリに、その位置を教えたのであろう。やがて、1匹、2匹、3匹と、ヤドカリたちは確実に増えてきた。
 死んだ小魚にとりつき、魚のまわりを歩いてサイズを計るもの。魚の眼にくらいついて、さっそくハサミで眼球を破るもの。小魚の口や肛門をつつきまわして、ハサミをいれるもの。そんな晩餐会を悟って、さらにヤドカリが増えつづけた。20数匹が入れ替わり立ち替わりで、3時間後には小魚は骨だけになってしまった。見事なスカベンジャーの威力を発揮した。

■水際には生物以外のゴミもいっぱい
 生命の起源は、海にあるといわれている。地球がはじまって以来、海では膨大な生命の誕生がはじまり、死も繰り返されてきた。その「死」を食べて、環境のクリーニングをするために自然の神様が誕生させたのが、エビやカニたちだ。海中から深海までその作業をになう彼らは、今日でもまだまだたくさん生息する。
 そして、オカヤドカリは水中から陸にあがり、水際のクリーニング係りを担ってきた。それだけに海が忘れられず、貝殻を背負い、産卵はいまだに海。自然界では波打ち際でもたくさんの死があることを前提にしているから、オカヤドカリを海から陸にあげてきたのである。
 それなのに、そのヤドカリにわずかではあるが最近は異変が起きてきた。本来の貝殻に加えて、アフリカマイマイなど帰化動物の貝が目立ちはじめてきたり、洗剤のキャップなどのプラスチック製品に鞍替えするのがいるからだ。
 また、波打ち際にはペットボトルやガラス瓶がゴミとして漂着するが、その瓶の中にある調味料などへ潜り込んで、日射病になって死んでしまうヤドカリもいる。水際をきれいに掃除してくれているこの「カニ」が、私たち人間社会のライフスタイルの変化に、少なからずほんろうされはじめてきていることが気になる。

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砂浜を歩くヤドカリ。 巻き貝を背負ったヤドカリ。

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船を見に来たヤドカリ。
ヤドカリの眼。

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はさみをアップでみると、爪が臼歯のようになっていた。
洗剤キャップを背負ったヤドカリ。

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アフリカマイマイの殻をかぶったヤドカリ。
ゴミだらけの海岸線で、洗剤キャップヤドカリが遊んでいた。

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漂着ペットボトル内で20匹以上のヤドカリが死んでいた。
砂浜にクリーニング家業の跡。

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アダンの実もヤドカリは大好物。
アダンの実は根元を丁寧に囓る。

A
B
C
小魚にハエが3匹。
まず、1匹のヤドカリが小魚を発見。 つぎつぎに、ヤドカリが集まってきた。
D
E
F
小魚の眼と内臓は一番先に食べられた。
一時間で、ここまで食べられた。 三時間で、こんな状態。

ニコンF5 ニッコール20ミリf2,8
ニッコール85ミリf1,8
ストロボ、RDP3


 

 

 

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