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「カラスって悪い鳥なの?」

都会では生ゴミを散らかすといった理由から
カラスの捕獲作戦が展開されている。
田舎では農作物を荒らす害鳥としてカラスが駆除されている。
カラスは本当に人間に害を与えるだけの悪い鳥なのだろうか。


■カラスの捕獲檻をみつける
  伊那谷の一角に、カラスの捕獲檻があった。大きさはおよそ30平方メートル前後 。金網でできており、カラスを生け捕るのだ。
 農作物を荒らすという理由から、最近はこのようなカラス捕獲檻があちらこちらに目立つようになってきた。農業団体が捕獲許可をとって設置したのだから、法律的には問題はない。
  捕獲檻のなかには予め囮の生きたカラスを数羽いれておいて、残飯や魚などの残滓を入れておく。すると「腐敗臭」におびき寄せられてやってきたカラスが、檻のなかにも仲間がいるから、知らずしらずのうちに入ってしまうのである。  檻の天井にはカラスが入れるように穴が開けられており、その穴のまわりには1メートルほどの針金が何本も下に向かってブラブラと吊りさげられている。いったん檻の中に入ってしまったカラスは、出ようとして天井の穴をめがけて飛ぶが、広げた翼が針金に当たり出られない仕組みになっている。こうして、檻は5年も10年も設置され続けて、周辺のカラスを捕獲しつづけるのである。
  そうした一つの檻を覗いてみて、びっくりした。
  なんと、ニホンザルの死体が散乱していたからである。サルも農作物を荒らすという理由で射殺され、その死体までカラスをおびきよせる材料にされていたのだ。すでに白骨化した頭蓋骨は、人間の子供のものではないかと思うほどに似ており、むごさを感じた。

■カラスは農家の敵?
  カラスは日々の暮らしのなかで、農作物を荒らすつもりでやっているのではない。自然界に必要とされて生まれてきたのだから、目のまえに美味しそうな食べ物があれば、それを食べるのが当たり前と思っているだけだ。しかし、その食べ物は農家の「所有物」だから、結果的にはいたずらということになり、所有者に疎まれていくのである。
  しかし、カラスはこの地球上には必要な野鳥なのである。それは、自然環境のクリーニングをするために、生きることを許されている鳥だからだ。
  自然界には生命の誕生の数だけ死の数もあり、死んだ生物を誰かが食べなければ、腐敗菌の巣窟となる。腐敗菌はときには周辺の健康な生物の生命を脅かしていく。このため、健康な生命を守るために、死んだり腐りかけていくものを食べて処理する生物が必要なのだ。その一環に、カラスがプログラムされているのである。

■都会でもやっかいもの
  都会でもよくカラスが生ゴミを散らかすといった理由から、カラスの捕獲作戦が展開されている。特に東京都ではカラスの巣を狙って、卵や雛を奪い取りながら数の減少をはかっている。
  しかし、このような行為はカラスが自然界で生きていることの意味を知らないからにほかならない。   たとえば、生ゴミのなかに「餃子」が入っていたとしよう。その餃子には豚の挽き肉がつかわれている。その「挽き肉」は、見方をかえれば豚の死体の一部である。その「肉」をだれも食べずに放置すれば、やがて肉が腐りそこから病原菌が発生してくる。そうさせないためにも、カラスが食べて「環境クリーニング」をしてくれているのだ。
  現代社会では生ゴミはすべてビニール系統のものに包まれているから、カラスが漁ったあとは自然に返らない「ビニール」ゴミが散乱するから汚く見えるのだ。

■人間のライフスタイルを振り返る
  こうして、カラスが生ゴミを漁るのにも意味があることを知れば、結果的に私たち人間が飽食となって多くの残飯を出しつづけることにも気づかなければならない。カラスだけを責める前に、私たちのライフスタイルを振り返る必要があるだろう。
  それに気づかずにこのままカラスだけを目の敵にしても、私たちの自然界に対する意識変化がないかぎり、カラスはどんなに捕獲されても次々に補充されてくるであろう。また、補充され続けるということは、自然界でそれだけカラスが必要とされているからだ。だから、いつまでも人間とカラスとの攻防戦は続く。

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農地の脇に設置されたカラス捕獲檻。 捕獲檻は、鉄パイプと金網で手づくりされている。

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捕獲されてしまったカラスたち。 檻の中にはカラスとサルの死骸が散乱していた。

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白骨化したサルの頭蓋骨。 ミイラ化したサル。

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水辺で死んだ魚を食べるカラス。環境クリーニングのための一仕事。 東京・銀座の午前5時。生ゴミを漁りにきたハシブトガラス。

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東京丸の内のオフィス街で成長するカラスのヒナ。

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ほんとうにカラスは悪い鳥なのだろうか。

使用カメラ ニコンD1
シグマ17-35ミリF2.8〜4
EDニッコール400ミリ F3.5


 

 

 

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