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「バブル時代の置きみやげ」

住宅地の隣りに広がる広大な原野にコミミズクが飛来しているという。
それも7羽も毎年やってくるそうだ。
コミミズクは余程この土地が気に入ったにちがいない。


■バブルがはじけて広大な原野
  茨城県のとある町、新興住宅地のすぐ隣りに、広大な原野が広がっている。面積はおよそ24ha弱、東京ドーム5個分にもなる。この原野は、もとは「田んぼ」だった。それが、ニュータウンが作られる予定で買い占められたのだが、バブルがはじけて、土地が活用されなくなり、いまは原野と化してしまったのである。
  そこに、コミミズクがやって来るようになって3年がたつ。それも、7羽。
  コミミズクは「フクロウ」を若干小さくしたくらいのフクロウ。ユーラシア大陸北部などで繁殖して、日本へは冬鳥として少数がやってくる渡り鳥だ。
  そのコミミズクが住宅地にかこまれたこの土地にやってきたのは、コミミズクが主食にしている野ネズミが多いからだ。しかし一度に7羽ものコミミズクが見られるのはめずらしい。余程この場所がコミミズクの越冬に適した場所だったのだろう。
  そう思って原野をみると、あちこちネズミの穴だらけだ。ススキの根元や土手に、野ネズミの穴が無数に見つかるのである。「ハタネズミ」という野ネズミの巣穴だが、とにかくおびただしい量のネズミがいるらしい。

■野ネズミの楽園に……
  コミミズクは一日に、3〜7匹の野ネズミを食う。平均4匹としても、毎日28匹前後の野ネズミがここで消費されることになる。しかも、コミミズクは10月下旬に渡ってきて翌年の4月上旬までいるのだから、150日の計算でもおよそ4200匹前後の野ネズミが捕獲されているのだ。
  これが、田んぼだったら、コミミズクはやってこなかっただろう。田んぼは毎年水を張って稲をつくるから、その繰り返しが続いていたのでは、野ネズミが大量に生息することは不可能だ。
  土地の買い占めによって稲が作られなくなった田んぼは、一気に乾燥へと向かう。そして、そうした環境を喜ぶ植物たちがどんどん繁茂する。そこで、植物同士の競争が何年間か続いている間に、野ネズミの好む餌となる種子をつけるススキなどの植物が土地の優占種となる。その環境を野ネズミが受けて、大増殖をしたのだ。とにかく、平均寿命が一年に満たない野ネズミは、餌さえあれば個体群をどんどん増やしていく。こうして、田んぼだった原野が野ネズミの楽園となったのである。

■7羽のコミミズクが気に入った場所
  その楽園で野ネズミたちが繰り広げる生活のための「会話」を、耳のいいコミミズクが察知して、「ここなら越冬できる」と判断したのだろう。はじめに、一羽のコミミズクがこの場所を探したにちがいない。しかし、1羽のコミミズクに対して、ナワバリは3haあまりの土地で十分だ。野ネズミの楽園となった24haもの土地は広すぎる。その空いた土地に、ほかのコミミズクたちが次々に入ってきたのだ。
  こうして、すでに3年間にわたってコミミズクは越冬するようになった。バブルの 崩壊を、こんなところで喜んでいる鳥がいたのである。
  自然は、まさに生きている。動いているのである。

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田んぼだった土地は、広大な空き地となって晒されている。 土手には野ネズミの巣穴が無数にあいている。

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フクロウの仲間だが、コミミズクは昼間でもさかんに飛び回る。生まれ育った故郷は「白夜」の地域だから、昼間飛ぶのがあたりまえなのだ。 杭にとまって、野ネズミの会話に聞き耳をたてる。

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背景はトラックの駐車場。その前で狩りをするコミミズク。

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土提で眼光鋭く、野ネズミのちょっとした動きをも探る。

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土地への「立入禁止」柵のうえも、コミミズクにとっては休息場。

使用カメラ ニコンD1
シグマ17-35ミリF2.8〜4
EDニッコール400ミリ F3.5

 

 

 

 

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