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「車道もけもの道」 その2

ロボットカメラの威力は、
黙して語らない自然界の動きをさりげなく撮影して、
そのサインを教えてくれるところにある。
車の通る道路も、このようにたくさんの動物たちが
次々に利用していることがわかった。
それでも動物たちの詳しい活動時間が分からないから、
いまひとつ不満も残った。
そこで、日にちと時間が分かるように、
データの写し込まれるカメラに換えてみた。
同じ写真を写したとしても、何月何日の何時何分かが分かれば、
その動物たちの息吹も身近になるからだ。

(「その1」については、2000年の中の12月22日付を参照してください)
道が掘り返されてもなんのその
  こうして、再びカメラが作動しはじめて間もなく、道路工事がはじまった。埋設してある上水道の本管が老朽化したから、新しいものに取り替えるための工事だった。
  道路のど真ん中を重機が掘り起こし、新しい水道本管を埋め直すのに20日ほどの時間がかかった。大規模な工事になるのだから、動物なんて歩かないだろうと、思った。そこでカメラのスイッチを切ってしまおうかと考えたが、ひょっとするかも知れないと思い、工事中もカメラの作動をつづけてみた。
  そのカメラのフィルムを現像してみて、驚いた。
  工事中でも動物たちはまったく気にすることなく、道路を歩いていたからだ。道路のど真ん中が掘り起こされて明らかにそれまでとは環境が大きく変わっているというのに、彼らは平気で往来していたのである。横着な動物たちだといってあきれる前に、これが本来の彼らの姿なのだと思ってしまった。

「アライグマ」が写ってる!
  そのカメラに、なんと「アライグマ」の姿があったのにも驚いた。アライグマは、北米原産の動物。ペットとして飼われていたものが野生化して、北海道をはじめ、全国各地で「帰化動物」となり、農業被害などを起こしていることは知っていた。それが、長野県にもとうとう姿を見せたのだから、ロボットカメラの設置意味が、ここにでてきた。
  まさに、ロボットカメラは人間を監視する「オービス」システムと同じであり、自然界の動きを的確に教えてくれる道具なのである。

けもの道にもオービスを?
  もし長野県で、こんなカメラを、50kmメッシュで設置して、野生動物の動きなどを追えたらすばらしい自然把握になるにちがいない。コンクリートで何億円もかけながら大して使われないような「箱モノ」をつくる公共事業もあるが、このような自然界の確かな動きを把握するような「公共事業」があってもいいのではないか。
  自然は一般には「経済性」がないように思われているが、アライグマは第二の「ブラックバス」とも考えられるから、このままもし全国的に大増殖していったら、甚大な農業被害が起きるだろう。そうした被害対策にも、税金が使われていくのが現実だから、結果的には経済性に跳ね返ってっくるといえる。
  21世紀の人類は、自然と共生しなければ生きていけい時代となった。自然界という同じ土俵に生活する生物たちと、共存しなければ私たちの時代はないのである。そのためにも、私たち人間は、共生する生物たちのことを少しでも理解できるようにならなければならない。

***写真をクリックすると大きく表示されます***


車道に向けてロボットカメラがひっそりと立つ


2000年10月19日、21:09
2000年10月23日、14:19
ウサギなのだろうか、キツネが意気揚々とくわえて帰っていく。 パトロール中の「パトカー」が、通過。

2000年10月31日、12:39
2000年11月2日、19:08
親子ザルが、いそいそと登っていく。 連休に東京方面から行楽客がB/Wで通過。

2000年11月3日、17:28
2000年11月9日、14:09
同じく連休中に大阪方面の行楽客が。 工事の前触れがはじまって、重機の動きが激しくなった。

2000年11月23日、12:33
2000年11月27日、11:51
サルが大急ぎで駆けくだってきた。 新しい水道本管が道路脇に置かれた。いよいよ本工事が始まる。

2000年12月2日、11:12
2000年12月4日、16:54
コンクリートの道路を「道路カッター」が切りはじめた。 厚いコンクリートが割られて工事も本格化。

2000年12月6日、11:04
2000年12月12日、00:34
水道管埋設現場に砂利が入れられて工事も佳境に。 小雪が降った夜間に、ハクビシンが3頭づれでやってきた。

2000年12月12日、01:11
2000年12月13日、04:19
ハクビシンが通過して37分後に、タヌキはひっそりと歩いてきた。 尻尾に黒いリング模様をみせながら、アライグマが登っていく。

2000年12月20日、17:23
2000年12月22日、05:27
工事箇所にコンクリートが敷かれて、工事もとうとう終わりに近づいた。 新顔の白いノラネコが現れた。ノラネコは湧きだすように、次々に入れ替わっている。

2000年12月22日、18:45
2000年12月23日、05:01
このキツネも新顔。どうやら疥癬ダニにやられているらしく粗毛。 黄色い冬毛に変身したテンも、道路サイドをゆっくりくだってきた。

2000年12月23日、05:12
2000年12月23日、17:24
野生動物は道路サイドを遠慮して歩くのに、ノラネコは図々しくもど真ん中をかっ歩。 散歩中のご婦人が二人、この辺では見かけない人たちだから、観光客らしい。

使用カメラ ニコンFA
ニッコール28-85ミリF3,5〜4,5 f8
ストロボ RDP3

 

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