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アオダイショウのイワツバメ定食

今年も、「イワツバメ定食」を食べに、アオダイショウがやってきた。
イワツバメの巣へとりついて、もう2週間も頑張っている。

高速道路の軒下で…

  中央高速自動車道の下をくぐる農道のボックスカルバートの天井に、現在は灯ってない蛍光灯が6基ある。その蛍光灯にイワツバメの巣が147個できている。このイワツバメの団地は、もう20年も前からある。毎年春になると、ここにイワツバメがやってきて、子育てをするのだ。
 4月に初めての産卵をして、5月上旬には第一回目のヒナたちが巣立っていく。そのあと、イワツバメたちは第2回目の子育てにはいる。すると、これらのイワツバメの子どもたちを狙って、アオダイショウがやってくる。
 2メートルちかい大きなアオダイショウは、巣立ち間近のイワツバメのヒナたちのいる巣へ侵入して、次々にヒナを襲って食べてしまう。イワツバメのヒナを丸飲みしてしまったアオダイショウは、消化するまで襲った巣に留まり、とぐろを巻いて休んでいく。
 休むアオダイショウの隣りの巣では、別のイワツバメ家族が子育てをしている。ゆっくり消化するまで休んでいる数日間に、隣家ではイワツバメのヒナたちがぐんぐん成長を続けていく。そのころには、アオダイショウも消化を終え、まもなく隣家のヒナたちを丸飲みにしてしまう。
 こうして、団地中のイワツバメの巣を次々に襲っていくから、アオダイショウはときには40日くらいもボックスカルバートに居座っていく。
 まさに、このアオダイショウにとってのメニューは、「イワツバメ定食」なのだ。

 


高速道路をトラックなどが走る、その下を地元の車が走る。


イワツバメの受難?

  一ヶ月以上にわたって、子育て中のイワツバメの巣が次々にアオダイショウに襲われていくのは、イワツバメにも理不尽なことと思われる。しかし、一年間で半分を冬眠して暮らすヘビにとって、夏はまさに食事どき。夏の間に一年分の食事を摂らなければならないから、小鳥たちを食べて、たべて、食べまくらなければならないのだ。
 アオダイショウだって、地球上で生きていかなければならないから、これは仕方のないこと。
 イワツバメに限らず、シジュウカラやスズメなど小鳥類は、一年間に2〜3回子育てをするものがいる。これらの野鳥は、2度目、3度目のヒナは、ほとんどがヘビやタカなどの食糧供給源と思ったほうがよさそうだ。ヘビやタカたちに食べてもらうために、野鳥たちは子育てをしているようにも見える。
 これが、自然界のほんとうの姿と思っていいのである。

 


今は点灯しなくなっている「蛍光灯」にイワツバメ団地ができている。


一見むごい世界でも

 初夏は、自然界が一年間でもっともダイナミックに動く季節。
新緑が繁茂しそれを虫たちにある程度食べられてもいいように、植物たちも計算にいれている。その虫を、野鳥たちが食べて、子育てをする。
 こうして育てられた野鳥のヒナたちが、みんな自然界に飛び出せば、植物や虫たちのためにもよくないから、数の調整役にヘビやタカたちがいるのだ。
 だから、巣立ち前の巣のなかにいる野鳥のヒナがヘビに襲われても、一見むごい世界に見えるが、これでいいと思わなければならない。

 


アオダイショウは、襲ったイワツバメの巣の中でヒナが消化するまで休んでいる。


アオダイショウは考えているのか

  僕は、アオダイショウがもう5年間も同じように、ボックスカルバートでイワツバメの巣を襲っている現場を見ている。そのイワツバメ団地の下を、車が一日に数百台通過していくが、アオダイショウがイワツバメのヒナを襲っている事実を誰も知らずに通りすぎている。
 もし、これらの中のドライバーがこの事実を知ったなら、アオダイショウを殺してしまう人間がでてくるだろう。それは、自然界の仕組みを知らない人間にちがいない。
 そうされるより、ここにきているアオダイショウは5年間も同じ個体なのかを、僕は知りたい。
 それが同じアオダイショウなら、アオダイショウもなかなか思考力があると思いたいからだ。ヘビといえども、結構考えて行動しているという事実を知ることのほうが、僕には興味がある。それが、自然を知ることにつながり、自然界全体を理解できるきっかけになると考えているからだ。

 


アオダイショウの隣りには、巣立ち間近なイワツバメの巣が・・・・・


みんな地球の住人

  今日の私たち人間は、自然に対してこのような「知って理解する」といった、ちょとした好奇心がなくなってきたから、地球上で苦しんでいるのだろう。
 たくさんの生物の生命が奪われていくその過程に、生きていくというほんとうの意味が隠されていると思う。人間社会のスピード化を維持していくためにつくったコンクリートの高速道路。そこに新天地を求めてやってきたイワツバメ。そのイワツバメを食べるアオダイショウ。これらは、みんな地球の住人たちだ。そうしたみんなの生命を見届けながら、生きることの意味を探ってみたい。

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