| 森の365日Home>フクロウ谷ドットコム |
| クジラ現場に駆けつける |
| いま僕は、写真集「死」の続編で「死を食べる」をテーマにしているが、それはあらゆる生物の死体が撮影対象となる。このため、アザラシでもクジラでも何でもいいから死体が海から打ち上げられたら連絡を欲しいと、全国の知人に声をかけていた。 そんな矢先のこと。ニュースにもなった通り、先日、静岡県の大須賀町の海岸にマッコウクジラが生きたまま漂着した。そして間もなくこのクジラは、海岸で息を引き取った。 ニュースでは和歌山の解体業者がクジラを解体するために動いていることを伝えていた。「死を食べる」は死んだ生物が他の生き物に食べられることをテーマにしてる訳だが、マッコウクジラを人間が食べるために「解体する」なら、これもテーマに沿う、と思って僕は現場へ走った。 |
| 埋葬された マッコウクジラ |
| 死後2日たった現場は、すでに解体業者が去ったあとだった。しかし、漂着クジラは法律によって食べてはいけないということだった。そこで、結果的にこのクジラは巨体を分割して現地の浜に埋める措置がとられた。 たしかに、ニュースで世の人々に知られることになったクジラを、人間が食べてしまっては、国際的な非難を浴びるかも知れない。しかし、40トンの巨体とはいえ大海原で生きてきたマッコウクジラだ。僕はその死体はやはり、海へ返してあげるのがエコロジー的ではないかと思った。クジラの死体を食べて成長するたくさんの生物が、大海原には待っているはずだからだ。 |
| 包丁を持って集まる人? |
| 40トンのマッコウクジラなら、末端価格はいったいどのくらいになったのだろうか? 北海道のサケの定置網にかかった5メートルほどの「ミンククジラ」が、600万円と聞いた。つい先日も、北海道積丹半島の海岸に打ち上げられたミンククジラが一瞬のうちに消えたと、メールが入ったが、北海道の知人からは、「アザラシならともかく、クジラなんて絶対に写真には撮れないよ」と言われた。どうやら、打ち上げられた瞬間から包丁をもった人間が集まるらしい。そして、ニュースになる前にクジラの姿がなくなってしまうのだそうだ。 どうやら、今日の日本ではクジラの肉はみんな「お金」にみえるらしい。 浜に打ち上げられたクジラを解体する人間たちを「死を食べる」というテーマで、僕は写してみたい。そもそもクジラは大海原に生きる動物。それが、自ら陸に揚がってしまうのは沖に帰れない原因があるはずだ。クジラ自身も、陸に揚がれば「死ぬ」ことは分かっての行動だから、人間が食べてあげるのも自然の成り行きかもしれない。そこに経済を持ち込むことなく、静かに頂けるところはいただいてあげてもいいのではないか。 |
| 坊さんがクジラにお経 |
| 大須賀町の海岸に打ち上げられたマッコウクジラの側には、いくつかの花束がみられた。そして、坊さんがきてクジラの脇でお経もあげたと聞く。その様子を逐一見届けていた地元のオジさんいわく、「オレが死んでもこんなに見物人も来なければ、手厚い弔いもないだうう……」。 大型クレーン車に大型ショベルカーが2台。建設会社の作業員だけでも20人くらい。それに、ガードマンが5人。この費用はどのようにして負担するのか知らないが、マッコウクジラも成仏できたにちがいない。 |
![]() |
| クレーンで吊り上げるために、首から切り落とされた頭。この頭だけで20トン。海に向かって口を開けていたが、口はそれほど大きく感じなかった。 |
|
||
Copyright (C) 2003 OWLET.net(Manabu Miyazaki) |