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●Gaku塾に連載の「gaku日記」の過去ログを掲載しています。


『ツキノワグマ・11』 (10月09日)

クロスズメバチの巣を次々に襲ったクマは、とうとう捕獲檻にはかからなかった。
捕獲檻の中には、ミツバチの蜜を餌に入れてあったが、クマはそれには引っかからなかったのである。
捕獲檻の横を何度も通っていきながら、蜜に誘われることなく、その脇にあるクロスズメバチの巣を襲っていったからだ。
しかも、クマ対策として、夜間には電灯をつけて、ラジオまでかけっぱなしにしておいた。
それにもかかわらず、クマは大胆にもクロスズメバチの巣だけを狙っていったのだった。
 
このような行動を見るかぎりにおいて、クマにも個体による嗜好の違いのあることがわかる。
少なくも、中央アルプス山麓の駒ヶ根高原一帯に出現するクマは、テンナンショウの球根やらクルミ、クロスズメバチの巣ばかりを狙っているのだから、ハチミツにはあまり興味がないみたいだ。
もちろん、こういうクマがいていいのである。
いや、いてくれなくては困る。
 
その昔、ある観光地に出現したクマに、ボクは「鯉」おたくと名付けたのがいた。
このクマは、とにかく鯉が好きだった。
信州の観光旅館では、お客さんに「鯉料理」をよく提供している。このために、生きた鯉を清水に泳がせておいて、料理をするのだ。
そんな鯉に目をつけたクマがいて、毎晩やってきては池に飛び込んで鯉を一匹抱きかかえて、山へ帰っていった。
 
また、「ジュース」おたくのクマも、いた。
空き缶だけを分別して大きなビニール袋にいれてホテルの脇に山積みにしておいたら、そこに毎晩クマがやってきた。そして、大きなビニール袋を藪の中まで抱えていって、そこで袋を破り、ジュース缶を一本ずつ口に含んで喜んでいたからである。
もちろん、このようなクマは「ハチミツ」も、大好きなのである。
 
人間にも食事に関しては好き嫌いがあるみたいに、クマをはじめとする野生動物にもそのようなことがいえるから面白い。
こうして、クマ捕獲檻が駒ヶ根高原にも仕掛けられたが、結果的に一ヶ月以上も空振りに終わったのである。
そして、檻は片づけられようとしている。

写真上・クロスズメバチの巣を襲った跡。
 写真下・ドラムカンの檻には、とうとクマもかからなかった。




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