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●Gaku塾に連載の「gaku日記」の過去ログを掲載しています。


『ツキノワグマ・10』 (10月06日)

伊那谷では、クロスズメバチを好んで食べる習慣がある。
これには、海に遠い地域だから動物蛋白を得るために「昆虫」まで食べて生き抜いてきた歴史的背景があるからだ。
だから、こと「ハチ」に関しては、たくさんのエキスパートがいる。
なかでも、クロスズメバチの巣を見つけるだけでなく、女王バチと働きバチまでも一緒に生け捕りにしてきて、自分の庭先に置いて半野生状態で「飼育」する技術を競っている男たちも、いる。
それは、山野にクロスズメバチの巣があるのを他人に捕られたくないがために、庭に持ってきて飼育するという欲深な発想から技術を磨いてきた結果でもある。
しかし、それらの技術をすべて会得して達観した者は、乱獲を防ぐ意味から、自宅の庭でたくさんの女王バチを羽化させて山野へ送り込むことを目的にしている者たちも、いる。
 
目的はさまざまだが、そうした仲間たちを観察していて共通していえることは、いい「ハチ飼い」になることを目指していることである。
いいハチ飼いとは、庭先のハチの巣に働きバチがたくさん増えて元気よく餌を運んでくる…、ということを意味している。すなわちそれは、巣が大きくなるからだ。
そんなハチ仲間が、駒ヶ根高原には4人いる。
 
その4人が飼育しているクロスズメバチの巣を、ツキノワグマが次々に襲った。
夜間になってクマは庭先に忍びより、通いのいい元気なクロスズメバチの大きな巣をことごとく襲って、巣房の幼虫を食べていったのである。
4人の中には、民宿をやっているのが2人。
ホテルを経営しているのが、1人。
みやげ店を経営しているのが、1人。
このなかでホテルを経営している庭だけには、クマがやってこなかった。
その理由は、犬を放し飼いにしているから、クマが敬遠して出現しなかったからである。
そのことは、7月14日の『マック14才』にも書いてあるので参考にしてもらえばいいが、野生動物に対する犬の有効性をボクは以前から指摘していることが現実となったわけだ。
 
だからといって、庭のクロスズメバチを襲われた人たちは、クマの出現を悪くいうものはいなかった。
むしろ、ミツバチだけでなく、クロスズメバチもクマが襲うことを知り、新たな発見をしたようだった。
そして、通いの鈍い小さなクロスズメバチの巣だけはクマも襲っていかなかったから、それを見て『クマがハチ飼いの審査員をやってくれた…』っと、いって笑っていた。
『これからは、クマに襲われるようなクロスズメバチを飼わなければダメだ…ぜ。』ともいって、来期の飼育を誓っているのだから、クマ対策を考慮しながらハチ飼いはさらに次なる秘策を練ることだろう。

写真上・イカの刺身を山野に吊してクロスズメバチを呼ぶ。
 写真下・発泡スチロールの箱の中にいれて、このように飼育をする。この巣を、クマが襲ったのだった。




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