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●Gaku塾に連載の「gaku日記」の過去ログを掲載しています。


『山羊肉』 (08月01日)

7月24日放送のSBCスペシャル「どこに消えた?ヤギを探せ!」を、見た。
長野県の地方局の製作ながら、なかなかいい番組だった。
ヤギは大正時代から昭和の中頃まで、全国的にさかんに飼育されていた。
それも、長野県ではヤギ王国とまでいわれるくらいに品種改良も重ねて、ミルクの出るいいヤギを育てていたらしい。
 
子供の頃のボクも、ヤギのミルクでずっと育った。
近所の農家と契約してあって、ビール瓶を持っていけば目の前でヤギの乳を搾ってくれた。
当時のお金で、ビール大瓶1本分のヤギミルクが10円。
それを鍋で煮て、ちょびっと砂糖をいれて、飲んだものだ。
臭みがあったけれども、原乳だから、牛乳よりずっと美味しかった記憶がある。
 
そのヤギがいなくなって、久しい。
ヤギが消えたのは、昭和36年の農業基本法ができてからだという。
畜産3倍果樹2倍というキャッチフレーズのもとに、自給的農業から商業的農業への変換だった。
それまで自給としてきたヤギミルクが、商業的な牛乳にとってかわり、今日の消費文化時代へと進んできたのである。
昭和36年といえば、ボクが小学校6年生のときだった。
 
ヤギはやがてミルクが出なくなって老いると、肉にされて食べられてもいたらしい。
しかし、我が家は貧乏だったから、そのヤギ肉すら口に入らなかった。
だから、ヤギ肉の味を知らない。
そこで、伊那谷のごく一部の肉屋さんでヤギ肉が手に入ると知って、急に食べてみたくなった。
 
子供のころの「すき焼き」といえば、伊那谷では「馬肉」。
馬肉のすき焼きがとても美味しかったことは覚えているが、ヤギ肉のすき焼きも美味しい…らしい。
 
そのヤギ肉「すき焼き」は、確かに美味しかった。
ヤギ特有の臭さもなく、ヤギ肉がこんなにも美味しいものかと病みつきになる味だった。
脂もあっさりしていて、独特な味。
こんなに美味しいヤギが農業基本法の煽りをくって消えてしまい、いまや牛肉一辺倒になってしまっているのが不思議なくらいだ。
牛肉もそれなりに美味しいものだが、ヤギだって個性があって、いい。
長野県のような中山間地域では、ヤギを飼育するのが土地利用としてはいちばん効率がいいような気がしてならない。
 
農業基本法から40余年。
ヤギと入れ替わりに乳牛や肉牛が伊那谷のあちらこちらで見られたが、その牛の姿も最近はめっきり数が減ってきている。
畜産3倍どころか、赤字続きで、廃業した畜産農家ばかりが目につく。

写真上・色鮮やかな山羊肉。
写真下・山羊肉のすき焼き。




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