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●Gaku塾に連載の「gaku日記」の過去ログを掲載しています。


『動体視力』 (07月16日)

久しぶりに志賀高原の地獄谷野猿公苑へ行ってきた。
実に20数年ぶり、だった。
内緒でそっと入苑してたのに、すぐに苑長に見つかってしまった。
旧知の苑長だったから、サルを見ながら一日中雑談にふけってしまった。
 
苑長はポケットに入れた大豆をときどきサルたちに投げ与えては、サルの順位やら癖のようなものを説明してくれた。
話しを聞けばきくほど、サルも人間に近いから個性的でおもしろい。
その合間にも、大豆を一粒だけもっては指で空中へはじきとばして、10メートルほど離れたサルに投げあたえたりしている。すると、サルの中には口だけをパクンと開けて、大豆を受けとる者がいた。
何回やっても、そのサルだけは見事にキャッチする。
他のサルでは、そのようなことをしないから、まさにこのサルは特殊なワザをもっていたのだった。
 
このサルは、メスだった。
見事な集中力だが、苑長はある実験をしてみせてくれた。
それは、大豆くらいの小石を拾って、数回に一度だけ大豆に見せかけて投げたのだった。
しかし、サルは空中を飛ぶ小石を一瞬にして見破り、口を開くことは、なかった。
小石と大豆とを、完全に見分けていたのである。
そんな姿を見てしまうと、サルといえども侮りがたい視力を持っていることに気づく。この視力で、逆に人間を完璧に個体識別して見ている…と思うと、脅威だった。
 
野生動物の餌付けに対して、よく賛否がある。
しかし、このような姿を見てしまうと、餌付けをすることによって知られざる生態を発見できるから、あながち反対ばかりもしておれないと思った。

 
この子のお母さんが口キャッチのサル。だから、この子も器用になるかも知れない。




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