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●Gaku塾に連載の「gaku日記」の過去ログを掲載しています。


『学習』 (07月04日)

4頭のウリ坊が行方不明になってしまったイノシシ家族だが、兄弟たちの死亡はほぼ確定的となった。
あれから1週間になるが、母親は子どもを1頭だけしか連れ歩いてこないからだ。
しかも、以来この母子には心の変化も大きく起きている。
 
母親は、何よりも警戒心が強くなった。
わずかな物音にも敏感となり、今までなら、ガンコ親父の居間から双眼鏡で覗かしてくれていたのに、それもできなくなってしまった。部屋の中での動きを敏感に察知して、庭への出現を躊躇しはじめたからである。
さらに、あれほどがっついて食べていた「リンゴの皮」も、ちょっとした気配で食べるのをやめて林へ引き揚げていってしまうのだった。
もちろん、ボクのカメラのフラッシュの光にも警戒心が露わとなった。
 
そんな母親の心情を残された1頭の子どもも分かっているらしく、母親から2メートルと離れることはない。
いつもオドオドしながら、母親にぴったりなのだ。
いっぺんに4頭の子どもを失ったことが、このイノシシ母子には大きな心の傷として覆いかぶさっているようである。
 
そんな話しをガンコ親父を交えて喫茶店でやっていたら、客として来ていたキタさんが割ってはいってきた。
 
キタ『スキー場の下にある水路があるだろぅー、あそこは1メートル以上も深くてなぁー
  去年だけどぉオレは車で通りかかったときに、あそこへ大人のイノシシを3頭も追い落とした…ぜ。
  あそこへ落ちれば、出口を探している間に暗きょへ落ち込むんさぁ
  あの暗きょは100メートルもあるから、あの底には何匹もの白骨があるハズ…だぜ。』
g『おいおい、そんな話しははじめて聞くぜー
  近くに住んでいながら、そんな水路や暗きょのあることも…知らなんだなぁー』
  
さっそく現場を見にいってみたが、道路に沿って水路が確かにできていた。
スキー場からの廃水用なので普段は水が通ってないから、車で走っているかぎりにおいてはそんなに深い水路とは気づかなかった。
現場は行方不明となったイノシシ家族の行動域にもなっているから、車に驚いて逃げる際に落ちてしまうことは充分に考えられる。
 
こうした動物たちの不幸を目の当たりにしてみると、それは私たち人間社会と同じことだなあと、ボクには思えてしまう。
ちょっとした不注意によって子どもを亡くしてしまったり、事件に巻き込まれてしまう現代社会。
それは、私たちにはニュースとして伝わってくるから理解できることかもしれないが、野生動物たちにはそんな情報伝達もない。
今回のイノシシ母子のように、当事者となってそのつど学習していくしかないのだろうが、私たちは動物たちの死からでも学ぶことはできるハズだ。
 
そういえば、数年前から軽い障害をもった少年が近所で行方不明となったままなのを思い出した。道路下に水路として通る「暗きょ」は、けっこう死角になっていることにも気づいた。

 
心の試練が日々つづくイノシシ母子。カメラにも警戒心を示しはじめたから学習されて、これが最後の写真と、なりそうだ。




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