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●Gaku塾に連載の「gaku日記」の過去ログを掲載しています。


『本家と別家』 (06月18日)

今年も、伊那谷ではフクロウが何カ所かで巣立っていった。
毎年春になると、いくつかのフクロウの巣を巡って、撮影はしなくても営巣をしているのかしていないのかの確認だけはし続けている。
そうした観察を何十年か続けていると、いろいろな疑問にぶつかるから面白い。
 
まず、あの巣とこの巣は確実に子育てをしている…という、安心感をもって探巣にでかけることができるからである。
また、あの巣は「大丈夫…かな」っといった不安な巣も、いくつかある。
 
安心して見られる巣は、もうかれこれ50年も繁殖しつづけているような巣だ。
これに対して不安な巣は、ここ10〜15年ほどの間に新たに見つけた巣なのである。
そうした巣でもちゃんとした立派な樹洞なのに、どうも営巣が不安定なのである。
これは、いったい何を物語っているのだろうかとつい疑問に思ってしまう。
 
この答えは、どうやら「本家」筋と「別家」組があるのではないか、とボクは思うようになってきた。
いわゆる、フクロウが生活していくのに食糧確保がきちんとできるいちばんいい場所にナワバリを持つ本家筋のフクロウがいて、そうしたナワバリを持てない別家組があると、考えられるからだ。
ようするに、自然界からの生産性が不安定な場所にナワバリをもたざるをえなくなった別家組は、その年々によって繁殖が成功したり、失敗したりしているのではないか。
 
本家筋のフクロウも30年以上にわたって見つづけていると、同じ樹洞に棲みながらも、周辺の環境に応じて捕獲する獲物も次々と変化していくことが分かった。
田んぼがあった頃は、トノサマガエルをたくさん捕まえていたし、米の生産調整で田んぼがなくなれば、餌がネズミにシフトしていった。
さらに、野鳥をよく捕らえることのできるフクロウが出現して、レース鳩などをも餌にしていく。
 
こうして、本家筋のフクロウは条件の整った環境では一世紀にもわたって同じ樹洞を代々使いつづけていく。それぞれの時代に合わせて捕獲する獲物も器用に変えながら、生き続けていくのである。その姿は、なんだか人間社会の縮図を見る思いがする。

 
本家筋のこの巣は、今年も3羽のヒナが巣立った。今年は、野鳥をたくさん捕らえていた。リスの後足の元にあるグリーンのリングは、レース鳩の足輪。




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