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●Gaku塾に連載の「gaku日記」の過去ログを掲載しています。


『猪垣・2』 (05月20日)

琵琶湖畔の今津市から福井県に抜ける国道303号線。
この福井県へ入ったところで、ハクビシンの交通事故死体を見つけた。
死体はかなり傷んでいたが、尻尾の特徴からまちがいなくハクビシンだった。
これまでの経験上、このように道路での交通事故に遭う動物がいるということは、地域に相当数の底辺の広がりを意味していることがわかる。
っと、いうことは、ハクビシンも福井県にはかなり定着していることがうかがえる。
 
そう思いながら車を走らせていくと、いたるところで「猪垣」に出会う。
それは、高圧電流を流している本格的な垣根から、トタン板などで田んぼや畑の周囲を囲うものまで形はさまざまだが、猪垣は多い。
それだけここでも、野生動物とのトラブルをかかえている…と、いうことなのだ。
 
山陰地方の海岸線ではさすがに漁業との関連性があるせいか、古い漁網の再利用が認められる。トタン板や漁網の利用を見るにつけ、野生動物たちとその地域の人間が何回も攻防戦を繰り広げながら試行錯誤の結果が漁網利用だからだ。
そうしたことを面白いといって片づけてしまうのは失礼なことだが、人間側からだけの理論で考えるのではなくて、農作物を荒らしにくる野生動物が人間をどう見ているのかといった、動物の側から見てみると解決の糸口がつかめるような気がする。
 
山陰地方の海岸線は急峻な地形をなしており、そこの斜面を耕して作物を作っているところが多い。
半世紀も前の時代なら、あらゆるところで作物がつくられていたが、過疎化とともに耕作面積もどんどん縮小されてきている。
耕作地は2〜3年耕されないと、そこはもう自然本来の山野に戻っていく。そうした場所は陣取りゲームでいえば、すでに野生動物たちの「陣地」なのだ。
 
その周囲に、わずかな畑地があれば、すなわちそこは野生動物たちにとっては「郊外レストラン」と理解するだろう。
目の前に美味しそうな作物があれば、彼らが「荒らして」いるなんていう感覚はもたないはずだ。
 
都会のマンションのベランダに小さなバードテーブルを設置してパン屑などを置けば、すぐに野鳥たちがやってくる。それと同じ現象が、ここにはある。
しかし、こちらの生きものはイノシシやシカ、サル、ハクビシンといった都会の小鳥たちとは較べられないブルドーザーみたいな奴らばかりなのだ。
ここでは、大都会の自然感覚で動物たちを見てはいけないのである。

写真上・兵庫県浜坂町ちかくの海岸線でみつけた「猪垣」。オバさんが檻の中で、働いて…いた。
 写真下・ハクビシンの死体。これから山陰地方にも、勢力圏をどんどんひろめること…だろう。




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