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●Gaku塾に連載の「gaku日記」の過去ログを掲載しています。


『猪垣』 (05月14日)

伊那谷では最近、イノシシ、ニホンジカ、ニホンザルなどの野生動物が増加傾向にある。
こうした動物たちが増えてくると、農作物への食害も起きて、そこに暮らす人々とのトラブルも激増中。
 
あまりの被害にたまりかねた農家は、自衛のために農地などに「猪垣」といわれる柵をして、動物たちの侵入を防いでいる。
それらの柵は、トタン板、金網、ナイロンネット、電気柵だったりする。
こうして自衛しても、賢い動物たちは難なくクリアーして、農作物をごっそりいただいていってしまう。
 
江戸時代にも、伊那谷ではイノシシなどの食害には手を焼いたらしく、当時の「猪垣」の痕跡がある。
昔の猪垣は、ほとんどが石積みの垣根だったり、土累だったり、する。
このような猪垣が見つかると、文化財に指定したりして往時をしのぶ町もある。
そして、「昔は、農民も野生動物には手を焼いていた…」と悠長なことをいっているが、
その「猪垣」が今日ではトタン板や金網に変化しただけのことである。
 
昔は、とにかく野生動物が出てくれば、ワナなどをつかって捕獲することもしていた。
そして、これらの獲物は当時の集落の人々には、「山肉」のご褒美でもあった。
だから、被害に遭っても、その仇はちゃんと取っていたのである。
 
ところがつい最近、こんな話しを聞いた。
ある集落で、ニホンジカの雄がナイロンネットに角を絡ませて逃げられずにいたそうだ。
それを、みんなで殺して、酒盛りになった。
しかし、「シカ刺し」や「ステーキ」に手を出すのは二口ほどで、ほとんどが食べ残してしまったらしい。
その現場に居合わせたお爺さんがいうには、
『みんな口が肥えてしまってなぁー 山肉なんて喜ばない…に』
 
そういえば、広島県のある島では増えすぎたイノシシをたくさん捕獲したが、肉を「たい肥」にしたという。
野生動物を一つの蛋白資源とみなせなくなった現代では、これからますます動物とのトラブルは続くことだろう。

写真上・伊那谷の過疎集落には、こんな光景がいたるところに見られる。それも、20年ほど前から顕著になってきている。
 写真下・お婆さんが畑を耕しているが、作物ができるころには野生動物たちに全滅させられること…だろう。




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