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●Gaku塾に連載の「gaku日記」の過去ログを掲載しています。


『北からの旅行者』 (02月08日)

北海道にはいたるところに原野がある。
河口付近の湿地帯などには、生きものたちにとてもありがたい原野が広がっている。一口に原野といっても、沼地に近いところから山野にいたるまでの間には微妙な土壌の湿乾があるから、全部ちがった意味をもっているのだ。
そこには、それぞれの湿乾に合わせて植物が生えているから、それらの適性植物で土壌の湿り気が分かる。その湿り具合に応じて、土中にはそれぞれにそうした環境に生きることを得意とする生物が生息している。
そうした生物を食糧としている野鳥がさらに上空に出現するから、その出限度によって、土中の生態系までをも知ることができる。
 
そんな原野を自然の価値を分からない人間どもは、「広大で無駄な土地」として、これまで「開発」対象としてきた。
こうして、間違った自然観の判断の元で、これまでに多くの自然生態系が失われてきたのである。
そうした反省点に気づきつつある行政も現れて、最近では「自然と人間の共存」を考える時代になってきたことはありがたい。
そして、原野はそのまま「放置」されてきているところが少なくなくなった。
(日本経済もバブルがはじけて、原野を開発するだけの元気が無いだけ・・なのかもしれない。)
 
そうした原野に「エゾヤチネズミ」が、どっさり棲んでいる。
アシからススキにいたるような環境が、エゾヤチネズミには絶好な棲み家だから、土中を巣にしながらたくさんのネズミたちが棲んでいるのだ。
その上空に「ケアシノスリ」が2羽、いつも乱舞していた。
 
ケアシノスリの故郷は、北半球のツンドラ地帯だ。
冬は凍土となる地域で越冬できないから、北海道をはじめとする本州などに渡ってきて越冬するのである。
毛が足に生えているから「ケアシノスリ」。
足に毛の多い猛禽類ほど、哺乳動物を捕獲する度合いが強いから、日本でのケアシノスリの食性も分かるというものだ。
 
2羽のケアシノスリは人間とまったく接触をしたことのないような大らかな原野で育ったのか、撮影者のボクをまったく警戒しなかった。
その距離なんと15メートルまで近づくことを平気で許してくれたのだから、まさに大陸育ちの大らかさである。
そして、どのような視力をもって狩りをするのか、原野で次々にノネズミを見つけて捕まえていた。
その数は、一日に平均5匹の「ヤチネズミ定食」なのである。
 
北国からの旅行者がこのようにいることだけでも、日本での原野がいかに大切かが分かる。
旅行者にとっては、こうした原野が旅先での「レストラン街」なのだから、私たちも自然の成り立ちを少しでも理解したいものだ。

写真上・獲物を見つけて飛び立つケアシノスリ。
 写真下・今しがたまで生きていたエゾヤチネズミを食べるケアシノスリ。名前の由来である脚に注目。




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