←タイトル一覧
  に戻る
●Gaku塾に連載の「gaku日記」の過去ログを掲載しています。


『空き家』 (02月06日)

日高山系の「二風谷」を通過したときだった、集落のなかに樹高30メートルほどのカラマツが見えた。
その樹頂付近に、なにやら野鳥の巣らしきものが点在していた。
なんとも不思議な光景に、思わず車を停めてしまった。
 
その巣は、アオサギのものだった。
カラマツの樹高と頂付近への営巣形態、さらに巣の大きさから鑑みて、アオサギのものに間違いないと結論できた。
しかし、この巣は「空き家」だ。
昨年使ったものが、そのまま残っているだけだ。
アオサギはときには何年間か同じ場所で営巣行動を続けることがあるから、今年もこの巣のいくつかは補修されてそのまま使われることになるかもしれない。
 
それより、北海道でも山地環境にあたる「二風谷」にアオサギが営巣していることが気がかりだった。
二風谷は古くからのアイヌ集落があり、その伝統を色濃く守ってきているところだ。
そこに、巨大な「二風谷ダム」が建設されて、稼働している。
このダム建設にあたっては、アイヌの伝統文化が破壊されるといって大変な反対運動が起きた。
沙流川を太平洋からサケが遡上し、二風谷よりさらに上流までやってきていた。そこにダムができればサケの遡上も止められてしまう。
 
そのダムが完成して稼働している。
とうぜん、川の水もコントロールされているはずだ。
そこに、本来は渓流や清流に棲まないアオサギが出現してきているということは、すでに水が変わっていることを意味している。
アオサギは停水域ないしは汚れが進んできている水域を好む野鳥だから、二風谷への進出がいつころからはじまったかにボクは興味がある。
少なくも、アイヌの人々が普通に生活していた時代には、アオサギはいなかったはずだ。
 
樹齢20〜30年のカラマツに営巣している「空き家」も、どうみても昨年のものだ。
アオサギは昨年から、ここへきて集団営巣したことだけは確かなようだ。

 
写真・アオサギの巣が点在する光景はとても奇妙だった。




Copyright (C) 2003 OWLET.net(Manabu Miyazaki)