森の365日【宮崎学のフクロウ谷日記】
写真・文/宮崎 学 理論社

森の観察小屋にはフクロウをはじめ様々な生きもの達がやって来て、思いがけない発見の連続。四季折々の谷を写真と日記で綴ります。
■著作 宮崎学 著
■ISBN 4-652-04215-9
■判型 四六判
■ページ数 158ページ
■価格 定価1,529円 (本体1,456円+税)
■発売日 1992年
第39回課題図書(1993年)に指定
>>理論社のページ 森の365日【宮崎学のフクロウ谷日記】
(内容抜粋)
2月21日 晴れ
フクロウは、声によってかなりのコミュニケーションをしている。‥‥もっとも、この「ホッホー、ホロッコホッホー」という声は、オスだけしか出せない。メスはメロディーは同じでも「ボッボー、ボボッボ、ボッボー」と、ほとんどダミ声だ。しかもこのダミ声は聞こえてせいぜい100メートルである。‥‥
3月28日 雨
‥‥ ちょっと留守にしていると、小屋の中で運動会でも開いているのか、ノネズミの糞がいたるところにころがっている。オシッコの甘酸っぱい独特な臭いも漂っている。針の先くらいに細くて小さい糞が、ハイテク機器から寝袋の上、自炊をするためのガス台や食器にまで落ちている。‥‥
4月7日 曇りのち雨
最近、僕が寝入った直後の早朝から小屋をノックするものがいる。
シジュウカラだ。シジュウカラはそろそろ巣作りがしたくて、あちらこちらで巣を作れそうな場所をさがしている。木や石垣の穴などに巣を作るから、小屋のベニヤ板に穴をあけてたくさんのコードを出してある穴の隙間が、どうやら気になっているようすだ。‥‥
5月3日 晴れ
‥‥ それなら一つ、このカマドウマたちと遊んでしまえとばかりにいたずら心が働いた。触角が長くて後ろ脚が極端に大きなカマドウマは、感覚的にはきわめて敏感でジャンプ力にすぐれている。捕まえることのなかなか難しいこの虫を、どのようにしたら捕獲できるかといった実験が始まった。‥‥
7月10日 晴れ
困ったことが起きた。カメラや電気などの配線ケーブルを、ノネズミがかじって切断するのだ。
ケーブルはフクロウ谷だけで4500メートル。家庭用コードが中心だが、これらをノネズミがかじる。ときには信号が送られず、支障をきたす。‥‥
9月27日 曇りのち晴れ
‥‥ そしてまもなく、小屋の屋根にフクロウが止まるようになった。いくら羽音がしないフクロウと言えども、スピードをつけて飛んでくるため、舞い降りた瞬間は「ドスン」と、屋根に振動が走る。静かな谷間だけに、小屋のなかへの衝撃は大変なものだ。観察窓からそっとのぞくと、僕の頭の上50センチほどのところに止まっている足が見えた。‥‥
10月25日 曇りのち雨
‥‥ そうして出した答えが、強制収容だ。栄養ドリンクの瓶に閉じ込めて、シメシメとなる。カメムシを見つけるとまず瓶の口をそおっと近づけていき、反対側からキャップを近づけて挟み撃ちのようなかたちですくいあげて閉じ込めてしまう。このときの瓶は、肩のはったものより、なで肩のほうが成功率が高いこともわかった‥‥