写真作画はいつも一品料理

オイラの仕事場は「むささび荘」。
中央アルプス山麓の高原にあり、敷地内の樹木にはいつもムササビがやってくるから「むささび荘」なのである。
この敷地内のヒノキの木にムササビ用の巣箱を設置したのが、4年前。
以来、この巣箱には、何頭ものムササビが出入りしてきた。
ときには、巣箱内で出産して子育てもしていった。
そんな巣内での動きを赤外線カメラで見られるようにも、仕掛けがしてある。
だから、夜行性のムササビの知られざる一面をずいぶんと観察してきたものだ。
そこで、今回は、巣箱の周辺でのムササビの動きを無人撮影してみることにした。
樹上空間に無人撮影用のロボットカメラを仕掛け、ムササビが行動する度に撮影してしまおうと考えたからだ。
この考えは、何年も前からあったものだったが、機材を作るのが面倒くさくて、これまで延びのびになってしまっていた。
そして昨日、その機材がやっとできあがった。
ストロボは、幹全体が照射できるようにタテ配列に2灯埋め込んでみた。
これらは、みんな自分でハンダ付けしながらの手作りなので、撮影結果の「絵コンテ」に忠実に仕上げることができる。
こうして、設置も完了した。
あとは、時間経過だけを待てば、確実に絵コンテどおりの作品ができるハズだ。
このように、オイラの作品は、すべてがオリジナルな一品料理となって仕上がっていくのである。
これがプロとしてのオイラの姿勢なので、時間や経費がかかろうとも、作品はいつもオリジナル。
これが出来なければ、他人との差も出せないから、プロとして生き残ってはいけないとオイラは思っている。
だから、世の中に一枚しかない写真のために、機材づくりだってすべてオリジナルでやっているだけ、なのである。
写真:
1)巣箱から外の様子をうかがうムササビ。
2)100円タッパーに納められた手作りストロボ。
3)庭に設置して、さあ、これからオリジナル作品のできあがり。。
ツキノワグマが動物園にやってくる理由は…
岩手県盛岡市の動物園にツキノワグマがやってきたというニュースは、面白かった。
どこが面白いかといえば、「まさか」と予想してなかった人間たちの驚きぶりがオモシロかったのである。
ツキノワグマは野生動物だから、動物園になんて来ないものと安心しきっていた人間たちの無関心さがオイラにはめちゃくちゃ面白い、のである。
ツキノワグマの行動や習性を知らない人には説明しても分からないだろうが、熊は動物の臭いが好きだからである。
動物の糞尿や体臭が好きだし、これを嗅ぐと妙に落ち着くからである。
そして、ついでに、餌となるものがあれば頂戴していくというのが野生のツキノワグマの行動だから、動物園にかぎらず、養鱒場や養鯉場、養鶏場、養豚場、養牛場…など、動物が飼育されている周辺には必ず関心を示してやってきているのである。
その事実を目撃できていないだけのことであって、今回はたまたま目撃したから騒ぎになったというワケである。
なので、今後も意識して観察していれば、ツキノワグマは必ず再びやってくることはまちがいない。
これはなにも、岩手県だけの問題でなく、全国的にも当てはまることなのである。
そもそも動物園や公園は広い土地も必要だし、緑濃い自然環境のいいところに併設するものである。そして、その環境は野生動物たちの行動ルートにつながっているところが多いので、そのような立地条件をわれわれ現代人は視野にいれながら把握しておく必要があるからだ。
長野県でも、遠い岩手県でおきたツキノワグマ騒動だと安心しているところがあるのかもしれない。
しかし、飯田市にある市立動物園、松本市にあるアルプス動物公園、長野市の茶臼山動物園、須坂市の市立動物園は、現実にツキノワグマがいつ現れてもおかしくない立地条件にある。
いや、目撃されてないだけで、日常的に近所を徘徊している可能性は充分にあるといえる。
これら4つの動物園には実際にオイラも出かけているので、周辺環境がどうなっているかはよく知っている。
その上で、ツキノワグマの行動習性の視点で環境を見直せば、まちがいなく熊の徘徊コース上にあるから関係者は注意しておく必要があろう。
現在のツキノワグマは、素人さんが想像する以上に個体数が増えてきているので、今後はそうした環境をきちんと把握しながら私たちがどう対処していくかといったところにきているからである。
これまで日本の自然環境を甘くみて呑気に構えてきた現代人への反省点として、今回の動物園へのツキノワグマの出現はいいキッカケづくりとなったのではないか、と思っている。
写真:安心している現代人の心理をツキノワグマも笑っている。
山の落とし物
仕事として借りている山林の地主さん夫妻の家を訪ねたときに、そこの奥さんが携帯電話のカメラで撮影した「動物の糞」を特定してほしいと画像を見せてくれました。
その「糞」は、色はかぼちゃのように黄色く、形は太短くて感嘆符のようでした。
それはどうみても人間のものであり、野生動物の糞ではありませんでした。
奥さんは、まさか人間のものとは知らずに、ボクに確認してもらおうと大切に携帯電話に保存していたのです。
その画像をみてなんだか気の毒になってしまったので、すぐに答えを教えてしまっていいものかとボクは言葉につまってしまいました。
撮影時の状況を聞けば、畑の脇にある小屋の陰だったそうです。
奥さんは、「こんな小屋のそばにどうして動物がやってきたのか不思議だった」そうです。
今はみんな水洗トイレになってしまって「野糞」などは意識のなかにもなくなってしまったような時代です。
ですから、人間のをまともに見ることができなくなってしまって、動物との区別もつかなくなっているのでしょう。
しかし奥さんの携帯にいつまでも人間の糞が入っていては気の毒なのでボクはここで意を決して伝えました。
「これはどうみても人間のだに。その携帯電話が臭ってくるかも知れないから早く消したほうがいいですよ」
奥さんは「たしかに小屋の陰だから人間が身を隠すにはいいかもしれんねぇ」と、大笑いをして画像を消去していました。
(photo:キツネは鼻と耳をよく使って、ひそかに人家近くを徘徊しています。)
山野で野生の生き物に出会いたいと思っても、彼らは人間の能力を超えて聴力・嗅覚などを持っていますから、私たちが気づく前に先に気がついて身を隠してしまいます。
なので日本には野生動物は少ないと思い込んでいる人も多いようです。
しかし、動物がいたという痕跡はかなりありますから、それらを見つけることで動物観察のアプローチはできます。
(photo:ニホンジカの耳は比率でいけばアフリカゾウよりも大きいので、とても感度がいいことを物語っています。)
中でも、動物の糞はかなり目立ちますし、種類によっては特徴がはっきりしていますから姿は見えずとも息吹を感じることはできます。
ここで大切なことは、フィールドで動物の糞を発見した場合は、まず人間を思い出すことなのです。
人間と、どこがどう違うのかといった視点で、考えられる動物をどんどん消去法にしていけばいいからです。
なので、フィールドワークもやはり人間がすべて基本となっていることを忘れてはなりません。
とくに、大きさの特定ができるようにスケールを当てて写真撮影をしておけば、糞のエキスパートに相談するときにも答えが正確に引き出されることでしょう。
自然界では、糞ひとつがときには雄弁に語りかけてくれることもあります。
尾篭(びろう)な話と片付けるのではなくて、「自然界の糞」は自然を研究するとてもいい天然素材なのです。
(photo:ニホンカモシカの糞は、細長くて黒いピーナッツのようです。)
(photo:ノウサギの糞は球形です。)
(photo:キツネの糞は、季節や食べ物によって形も変わります。)
(photo:ツキノワグマの糞は、とにかく太くて大きいです。)
(photo:イノシシの糞は、塊粒のつながりが特徴です。)
(photo:ニホンザルの糞は繊維質を食べるとこのようにつながっていることが多いです。)
(photo:オーチャードグラスを食べているサルですが、この繊維が糞をつなげているのでしょう。)
(photo:テンは、林道などの石の上によく目立つようにします。)
(photo:ニホンジカは、カモシカに似てますが糞粒がカモシカより細長くありません。)
(photo:タケノコを食べて下痢をしたイノシシの糞です。)
(photo:タヌキはタメ糞をしますので、ときには60cmもある糞塊ができます。)
(photo:イタチがイヌビワを食べた糞です。)
(photo:イノシシは、このような開けたところにもよく糞をします。)
森のライブカメラ で、ムササビの赤ちゃんが誕生しました。(3/23日)むささび荘にしかけた巣箱の中で、ムササビ母さんが出産したようです。これからが楽しみですね。
森のライブカメラザ・ベストも更新されています。
森のライブカメラ から作成した動画をYoutubeにて公開中です!コメントもお待ちしてます。
スズメバチがムササビの巣箱に僅か一日で巣を作ってしまうことが、記録されています。この画像は、静止画としてキャッチされたものをつないで、動画にしたものです。(作成/ILLOMENさん)
>>ライブカメラベスト集 2007年8-9月 むささびホテル : ムササビ赤ん坊 蜂の巣事件 はこちらです
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