佐渡のトキをテンが襲ったというけれど…

新潟県佐渡市にある「佐渡トキ保護センター」のトキがテンに襲われて9羽が死んだという。
このニュースで、社会的には、テンがいちばん悪者になっていると思う。
しかし、テンは何も悪いことはしてない、とボクは思っている。
テンは、自分の生態に忠実に行動したからにほかならないからだ。
だから、これらの事件は「人災」だと思っていいだろう。
国民の膨大な税金をこうして無駄遣いしたのは、やはり人災のなにものでもない。

テンは、肉食動物である。
肉食動物は、フルーツ類も大好物である。
このため、餌が欲しければ、どんな行動にも出てくる動物でもある。
だから、トキが1羽一億円しようが、テンにとってはただの美味しそうな「餌」、でしかない。
トキは、ケージ内でドジョウなど餌がふんだんに与えられて、育てられている。
その現場そのものがテンにとっては魅力的な餌場であり、虎視眈々と狙い、忍び寄ってきたからである。
カンタンに言い換えれば、トキをつかってテンに「餌付け」をしていたと思えばいい、だろう。
そのことを予測できなかったのは、トキのことだけしか考えられず、テンという肉食動物が日本の自然界でどのような生態的位置づけにあるのかを計算できていなかったからだ。
これこそ、テンがごく普通に自然界にプログラムされて生きていることを複眼発想できなかった関係者の怠慢だった、と思えばいいのである。
だから、これはハッキリいって人災なのである。


新聞記事によれば、ケージ内を監視するカメラが24時間態勢で作動していたという。
しかし、夜間撮影ができないから異常を把握できなかったとも書いてある。
だからといって、夜間撮影ができるようなカメラをまたぞろ税金で買えば済む、という問題でもなかろう。
トキがカメラの前で殺されてもそれを撮影した映像を見ているだけでは何の問題解決にもならないし、責任転嫁のなにものでもない。
これが、テンがニワトリを襲って殺したのならニュースにもならないが、トキだから国民の関心もあるのだ。
ここはやはり関係者は、事実を真摯に受け止め、日本の野生動物の存在をもっときちんと再認識しながら節税につとめてほしい、ものだ。


写真上から:
1)テンはなかなかに魅力的な表情をしている。
2)天井の換気扇ファンを破って室内に侵入してくるテン。
3)室内のリンゴを盗んでいくテン。
4)こんなフェンスの上だって平気で移動できる。
5)監視カメラのコードをテンが食いちぎってしまった。
6)電気コード類は、テンがよく齧ることを忘れてはならない。
7)倒木だってバイパスがわりに使ってしまえる身軽なテン。
8)自然界でのテンはいろんな表情や肢体をみせてくれる。
9)屋根の上だって平気で走り回ることができる軽業師ともいえるテンの足跡。
ツキノワグマが庭先まできているのに…
伊那谷の林の一角に小さなオーガニックレストランがある。
そのレストランは、子供たちになるべくよい本を見せようと数百冊の絵本などを並べてもいる。
あるとき、ボクはこのレストランへ食事に出かけた。
窓辺のテーブルからは、手を伸ばせば木々の枝をつかまえることができた。
もちろん、それらの木々は林の奥まで続いていた。
主人は、ボクが何冊もの出版物があることを知っていたので、かなり親しげに話しかけてきた。
そして、いろんな会話のあとで、
「ここのレストラン脇にもクマがくるから、夜間などの外出はほんとうに注意してくださいね」、
とボクは言った。
すると主人は、
「そんなバカなぁー クマなんてこんな場所には来ない…」。
さも、いい加減なことをボクが言っているような目つきで、否定した。
こんな人にクマなど野生動物の話をこれ以上してもムダだと思ったから、ボクは話題をそらした。
しかし、このレストランから300mのところには、実際にはツキノワグマが何回もきている場所がある。
もちろん、通学路だって近くにあるし、ボクはツキノワグマの行動力を知っているから、認識を新たにしてほしくて言ったまでだ。
それなのに、子供にはよい絵本を、食生活はオーガニックを、と理想だけは高い。
同じ伊那谷という風光明媚で自然環境の豊かなところに生活していながら、こんなにも足元の自然環境を見ていないのか、とあきれてしまった。
自然は、アフリカの草原やアラスカ、カナダの森林帯にしかないと思っているレストランのご主人。
この意識ギャップこそが、ボクには事件だと思った。
いつから、日本人はこうまで自然を見れなくなってしまったのだろうか。
よい「絵本」だと思っている数百冊の蔵書そのものが、もはやここではムダなことだと思った。
たくさんの自然環境が足元にあるというのに、地域住人がここのレストランへやってきて親子で「絵本」を読んで表面面だけで満足していくのかと思うと末恐ろしさをも感じた。
ちなみに、ここには、ボクの本は一冊もなかった。
それで、いいのだが。

写真上から:
1)矢印のところまでツキノワグマは平気でやってきている。もちろん、ここは道路も人家もレストランも公園も、ある。この写真の中だけでも4万人強の人口があるが、誰一人として野生動物たちがどこを歩き回っているかなんて考えたことのある人間はまずいないだろう。
2)ふだん見慣れている風景でも、ちょっと雪が降れば、「けもの道」がくっきりと見えてくる。この道をツキノワグマも歩く。こうしたちょっとした視点から自然界を考え発想し、無人カメラが無理ならヘアートラップなどを仕掛けて探ってほしいものだが、田舎の人間とて現代社会では意識が退化家畜化されてしまっているから期待するのも無理だろう。
3)里のケヤキの元に遊びにきた子熊。100m先には通学路がある。
カラスのお宅拝見
カラスは、全国どこにでも棲んでいる野鳥です。
真っ黒で、ダミ声で、いたずら好きで、とにかく多くのヒトに快く思われていない野鳥だと思います。
でも、そんなカラスがボクは好きなんです。
どこが好きかといえば、カラスはとっても「助べえ」だからです。
助べえということは、好奇心が旺盛ということでもあります。
その好奇心でいっつも人間を観察していますから、カラスは人間のそばに棲めるのです。
あるとき、人家の庭にカラスの巣を見つけました。
庭に植わる桐の木にその巣はありました。
まだ、春も早かったので、桐の木は芽吹いていませんでした。
そんな丸裸の木に、直径が50cmもある大きな巣をつくれば、それはよく目立ちます。
しかも、地上6mほどの高さに巣がありますから、空に抜けていて、ボクのような自然に関心のある者にはすぐに見つかってしまいます。
そのカラスの巣をボクは覗いてみたくなりました。
でも、人家の庭ですから、家のヒトの許可をいただかなければなりません。
そこで、ボクはいきなりカラスの巣のある家に飛び込んで許可をもらうことにしました。
「ごめんください、すみませんが庭木にカラスの巣があるので登らせてください」
人家からは年配のおじさんが出てきました。
「はぁー カラスの巣ねぇー どこにあるぅー?」
「いや、おじさんちの庭にある桐の木ですが…」
「なにぃー あの木にカラスの巣があるだとぅー そんなもの見たこともないぞぅー」
「だって、おじさん、ちゃんと巣がありますよ。見たこともなかったのですかぁー」
「ああ、知らないぞぅー いつのまにか巣をつくったのだろう、か?」
おじさんが、知らない間にカラスが巣をつくっているということは、それだけおじさんがすべてに無関心だったからカラスはそのところをちゃんと見抜いて、「ここなら安全」と思って巣をつくったにちがいありません。
そこが、カラスの「助べえ」なところであって、人間をこうしてきっちり観察している証拠なのです。
木に登ってみれば、卵が4個きれいに並んで巣の中にありました。
卵の周りには、犬の毛がどっさり敷き詰められていました。
そんなボクの木登りを庭で見守ってくれていたおじさんが、
「卵はあるかい、なぁー」
「ありますよ、4個」
「ほう、4個も産んであるんかい、な?」
「おじさん卵を見ますか?」
「うん、見せてくれやぁー」
ボクは卵をそっと手にとって、木の上から庭にいるおじさんに見せてあげました。
「ほう、カラスはそんな色の卵をしとるんかい、な?」
「それに、チャボほどもあるけっこう大きな卵なんだなぁー おらあ 初めてみるにぃー」
おじさんは、庭のカラスの卵に感動しているようすでした。
「ところで、おじさんちには犬飼ってますか?」
「いやぁー 犬は隣にいるが、うちにはいねえ…」
「隣って、あの100mほど離れたお宅のことですか?」
「そうだぁー あの家だ」
「あの家の犬は茶黒のブチですね、たくさん犬の毛がこの巣に入っていますよ」
「ほほぅー 犬の毛なんかも使っているんかいなぁー」
「そうなんですよ、カラスはですねぇー 犬だけでなく、近所に馬がいればその毛を使うし、人間の髪の毛だって巣の材料によく使っています、よぅー」
「へえぇー 驚いたなぁー カラスってそんなにもいろんなところを見ておるとは知らなんだ、なぁー」
「とにかく、おじさんちの庭木にカラスが巣をつくったということは、おじさんがカラスのことを全然知らずにいることを、カラスはちゃんと見届けていたからなんです、よぅー」
とまあ、こうしてボクは初めてのお宅で木に登らせてもらったのですが、カラスのことを少しでも知ることができて、おじさんのほうが嬉しそうにしていました。
現代の人は、自分の庭の自然にさえ無関心になっていますから、カラスもこうして庭に巣をつくるようになったのです。
これが、50年も前の昔なら、カラスは人家の庭になんて巣をつくりませんでした。
村中の子供たちがいろんなところに関心を示して遊んでいましたから、カラスもそんな子供たちの視線が気になって人家付近には巣もつくれなかったからです。
子どもが登れる木などに巣をかけたらたちまち覗かれたり、いたずらされてしまうことでしょう。
現在では、里山の人家をはじめ、都会の並木道やビル街など、いたるところにカラスの巣があるということは、それだけ現代人が身近な動物に目を向けてないということです。その人間をカラスが逆に観察しているからなのです。
そんなカラスの人間観察の心理が分かってボクも嬉しくなります。そうしたカラスの好奇心が、ボクには好きでたまらないのです。
- カラスのお宅拝見
日本の自然を誰よりもディープに見つめる自然界の報道写真家・宮崎学。彼が30年以上かけて撮りためたカラスの巣を、厳選して一挙公開。北は北海道から、南は九州まで、カラスの巣、巣、巣……。北方四島をバックに、丸の内ビル街をバックに、奈良の古墳をバックに、鹿児島の桜島をバックに、日本全国あらゆる場所に営巣するカラスたちの営みを激写。人間社会の落とし物で巧みに作るカラスの巣を見ていくと、わたしたちが見落としていた「ニッポン」の姿が見えてくる!
新樹社刊 2,000円(税別)
森のライブカメラ で、ムササビの赤ちゃんが誕生しました。(3/23日)むささび荘にしかけた巣箱の中で、ムササビ母さんが出産したようです。これからが楽しみですね。
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スズメバチがムササビの巣箱に僅か一日で巣を作ってしまうことが、記録されています。この画像は、静止画としてキャッチされたものをつないで、動画にしたものです。(作成/ILLOMENさん)
>>ライブカメラベスト集 2007年8-9月 むささびホテル : ムササビ赤ん坊 蜂の巣事件 はこちらです
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